特集

世界最古の砂漠が育む奇想天外な生物

─砂漠ならではの進化を遂げた生物を教えてください。


ナミブ砂海

小澤:ナミブ砂海では雨がほとんど降らないのですが、海が近いため海霧が発生します。そのわずかな水分を摂取するために進化した特徴的な生物が生息しています。ゴミムシダマシやパルマトゲッコーなどがそうです。キリアツメゴミムシダマシは小さな甲虫で、霧が出るとジッと動かず身体に水滴が付くのを待ちます。後ろ足が長く前傾姿勢になっているため、付着した水滴は口の方に流れ込み、それを飲むのです。パルマトゲッコーというヤモリは、夜行性のため大きな目を持っています。霧の中でジッとしてその大きな目に水滴を付着させ、舌を伸ばして舐め取ります。



―まさにナミブ砂海で生きていくための進化ですね。ほかにはどんな生物に出会いましたか?



ナミブ砂海

小澤:動きが速いものが多いのも特徴ですね。一説には昼間は砂が70度と熱いため、ジッとしていないとも言われています。シャベ ルスノーテッド・リザードは、砂の上を移動する際、しばらく走るとお腹を砂に付けて脚を浮かせ、熱くなった足の裏を冷まします。それらを捕食する蛇、サイド・ワインディング・アダーは横向きに身体をスライドさせることで、砂の上を器用に高速移動します。ほかにも砂の上を走るカメレオンがいたりと、個性豊かです。



―植物にも個性的なものがありそうですね。



ナミブ砂海

小澤:砂漠には直径2メートルに広がる植物、ウェルウィッチアが生えています。「奇想天外」という日本名を持つ裸子植物で、地下深くの水脈と霧から水分を得ています。見た目にはたくさんの葉っぱがあるように見えるのですが、実は葉は2枚だけ。葉が風で引き裂かれ、そのような姿になるのだそうです。寿命は1000年以上と言われていて、葉はずっと伸び続けるのです。