特集

垂直の断崖を最後の住処とした動物たち

4月6日の放送は、エチオピア北部にあるシミエン国立公園を紹介します。アフリカ大陸を南北に走る大地溝帯の一角で、火山活動で溶岩が厚く積もってできた標高4000メートル級の高地にある世界遺産です。その過酷で壮大な自然環境での取材を終えた小澤ディレクターに、話を聞きました。



─今回は、ナレーションが藤原竜也さんに替わっての記念すべき第1回目の放送となりますね。


シミエン国立公園

小澤ディレクター(以下、小澤):リニューアル初回の放送となるので、撮影にはいつも以上に気合いが入りました。藤原さんのナレーションを想像しながら、彼の声のイメージに合うような迫力のある映像を撮ろうとがんばりました。



―今回紹介するシミエン国立公園ですが、どんな場所にあるのか教えてください。



小澤:標高4000メートルという高地にある自然遺産です。周囲は絶壁になっていて、落差は最大で1500メートルにも及びます。近郊の街から車で2日間、その後、ラバに荷物を載せて徒歩で移動しました。今回はこのシミエン山地がどのように生まれてきたか解説するため、公園の外にあるエルターレ火山の火口を、まず紹介しています。煮えたぎる溶岩に近づくことができる火口で、音も熱もすごかったです。



―そのマグマがどのようにしてシミエン国立公園の断崖絶壁を造り出したのでしょうか?



小澤:シミエン国立公園があるアフリカの大地溝帯は、マグマが地面を押し上げて作った巨大な亀裂です。シミエンの山々も大噴火の溶岩で形作られたものです。今も活動しているその姿をご覧いただきたいと思いました。SONYのアクションカムを装着した小型無線ヘリを飛ばして溶岩湖の空撮にもチャレンジしました。溶岩湖の真上をヘリが飛行して、見下ろすような迫力のある映像が撮れたので、ぜひ番組でご覧ください。



―そして、世界遺産であるシミエン国立公園ですが、地形のほかにどのような特徴があるのでしょうか?



小澤:夜は氷点下、昼間は30℃を超える寒暖差の激しい場所です。樹木は少なく、今回の主役であるゲラダヒヒや、現在400頭あまりが生息するワリアアイベックスなど珍しい動物が残された場所でもあります。これらの種の保護も、世界遺産に登録された理由のひとつです。