特集
イタリア・スペシャルI・II
石渡ディレクターインタビュー
―1回目の放送はルネサンスで締めくくられているわけですね。2回目の放送では舞台がシチリア島に移ります。

石渡:シチリア島にもやはり数々の世界遺産があります。今回紹介するのは、まず11月17日の放送でも紹介した自然遺産、エトナ山です。この島は、火山の存在と、アフリカとヨーロッパを繋ぐ立地のよさにより、複雑な歴史が折り重なってきました。世界遺産を通して、その一端をご覧いただければと思いました。
―シチリア島では、他にどんな世界遺産が紹介されていますか?
石渡:シチリア島には様々な時代の遺跡が残されています。紀元前6世紀ころの古代ギリシア時代の神殿「アグリジェント」や、巨大なモザイク画が有名な古代ローマ時代の「ヴィッラ・ロマーナ」など、古い時代のものも紹介しています。個人的に印象に残ったのは、シチリア島の南東部にある8つの街をまとめた「ヴァル・ディ・ノートの後期バロック様式の町々」という18世紀に建設されたバロック様式の建築物で構成された世界遺産です。
―これらのバロック様式の町並みが印象に残ったのはどうしてでしょうか? 番組を観る視聴者の皆さんに見どころとともにお聞かせください。

石渡:シチリアの歴史は、天災と、大国による支配の歴史でもあります。これらの8つの街は17世紀の噴火と大地震で甚大な被害を受け、ほとんど壊滅してしまいました。そこから人々が立ち上がり、新しい街を作り上げたという復興の力に人間の素晴らしさを感じます。今回のイタリアの2回シリーズをそういった視点でもご覧いただくと、私が感じたように「人間て素晴らしい」と思ってもらえるのではないでしょうか。
世界遺産の歩き方
イタリアの各都市には世界遺産に登録されている旧市街が数多くある。ただし、一概に旧市街と言っても様々な時代の建造物が混在していることが多い。また11世紀からルネサンス期にかけては各地で都市国家が覇権を争ってきたので、その歴史を知っていると旧市街観光もより興味深いものになる。ぜひイタリアの中世の歴史をお供に、旧市街の散策を楽しんでほしい。