特集

石渡ディレクターインタビュー

―ヴェローナを発った後も鉄道の旅は続きますか?

イタリア・スペシャルI・II

石渡:トスカーナ州では、日に1便だけ特別運行しているオルチア鉄道の蒸気機関車を紹介しています。トスカーナ地方中部の都市、シエナの人々が開墾して作り上げた豊かなオルチア渓谷の景観は文化遺産として世界遺産に登録されています。その美しい景色はSLからも楽しむことができます。

―オルチア渓谷はかつてシエナの人々の手によって開かれた土地なんですね。そのシエナの旧市街も世界遺産として登録されています。

石渡:シエナは中世の時代、フィレンツェと並ぶ強大な都市国家でした。今でもその頃の姿が残されています。シエナが栄えたのは、水道などのインフラがきちんと整備されていたことからもわかります。今回の取材では、シエナの地下に造られた長さ25kmにわたる巨大な地下水道を紹介しています。シエナの中心となるカンポ広場に地下への入口があります。

―シエナの紹介の後は、かつてそのシエナを打ち破ったルネサンスの中心都市、フィレンツェの紹介ですね。

石渡:フィレンツェも中心部が歴史地区として世界遺産登録されています。今回は歴史を巡る旅の締めくくりとして18世紀に操業を始めたシルク工場を取材しました。この工場では、創業時にレオナルド・ダ・ヴィンチが考案した巨大な糸巻き機を図面を基に再現して今でも稼働させており、中世からの伝統工業の象徴になっています。