特集

世界遺産への登録間近! 富士山

時代を超えて人々を魅了し続ける山

―山岳信仰や富士講の人々が登山をしていた形跡は、現在も富士山に残っているのでしょうか?

時代を超えて人々を魅了し続ける山

鈴木:はい、残っています。今回、世界遺産として登録されるのは山そのものだけではなく、登山前に禊をした池や富士講の人たちが巡礼した滝、当時から残る神社なども含まれています。また、今回の文化遺産登録では、富士山が芸術の着想の源泉になったということも評価のひとつとなっています。

―「芸術」とは具体的にどのようなものなのでしょうか?

鈴木:日本では江戸時代に一度、富士山が大流行したのですが、人々はそんなブームの中で、富士山を題材とした多くの芸術を生み出しました。江戸時代後期に葛飾北斎によって描かれた浮世絵「冨嶽三十六景」もそのひとつです。この作品は荒々しい波や日本各地で暮らす人々の営みを、遠近法を用いて描いた富士山とともに見せるという手法で人気を博しましたこれは番組内でもご紹介します。

―今回の取材では鈴木さんも富士山に登られたと思いますが、実際に登ってみてどのような印象を抱きましたか?

時代を超えて人々を魅了し続ける山

鈴木:登ってみると岩だらけの山で、遠くから見た美しい印象とはまったく異なりましたね。一般の人が山に登ることができるのは夏だけなので、登山の映像は去年の夏に撮影しました。私たちは富士山の世界遺産登録に向けて、1年以上前から取材を進めてきました。1年の取材を通して感じたのは、富士山は本当にさまざまな表情を持った山なのだな、ということです。

―1年間の長期取材となると、相当な量の映像を撮影したのではないでしょうか?

鈴木:撮影した映像は、時間にして100時間以上はあります。そのため、めったに見られない貴重な富士山の映像を撮影することにも成功しました。