特集
第36回世界遺産委員会報告

6月16日より、第37回世界遺産委員会がカンボジアのプノンペンで行われています。その模様を世界遺産のスタッフが現地からレポートしていきます。 レポートは到着次第、特集ページにアップしていきますのでお楽しみに!
新しい世界遺産の審議も23日で終わり、委員会での会議は事務的な話しが中心になったため、閉幕式が行われるシェムリアップに、一足早く25日に移動しました。
通常、世界遺産委員会は「世界遺産のある都市」で行われます。ところが、今回のプノンペンには世界遺産はありません。カンボジアで世界遺産のある場所は、ここシェムリアップと、プレア・ヴィヘアの二カ所です。
シェムリアップには、ご存じ「アンコール」があります。ここでは世界各国のチームが、遺跡の修復作業に携わっています。

最も有名なアンコール・ワットは、イタリアのチームが修復に当たっているのですが、現在、西側・正面の第一回廊(アンコール・ワットは第一から第三まで回廊があって、段々と上にあがっていきます)西塔門の修復に入っていました。三年前に来たときには、ひとつ上の第二回廊をやっていました。2015年にはすべての修復を終えるとのことで、修復用のカバーのかかっていないアンコール・ワットの正面を撮影するとしたら、それ以降ということになります。
アンコール王朝最盛期に作られたアンコール・ワットは、細部に至るまできわめて精緻な細工が施されています。しかし、所々、「作りかけ」の部分があります。たとえば、この写真。一番右側の彫像はほぼ完成していますが、それ以外は、彫りかけ、もしくは下書きに近い段階です。


なぜ「作りかけ」なのか、諸説ありますが、王の栄光がいつまでも続くようにと、わざと未完のままにしたという節があります。「完成は没落の始まり」という言葉がありますが、それを忌避したということでしょうか。
明日は、カンボジアのもうひとつの世界遺産、プレア・ヴィヘアに向かいます。
プロデューサー 堤