特集

国民的お祭りが行われる世界遺産の街

THE世界遺産ディレクター取材記

祭りのクライマックスは炎とパレード!


―実際に取材をして感じた、一番のクライマックスはどこでしょう? それぞれのポイントを教えてください。

祭りのクライマックスは炎とパレード!

柳沢:火祭りの期間中は連日花火が上がったりして大変にぎやかで、見どころの連続なのですが、何と言っても、人形に火が放たれる最終日がクライマックスでしょう。大きな人形が燃え上がる炎は、すごい迫力です。建物に燃え移って火事にならないように消防隊員が水をかけながら燃やすのですが、その水と火が入り交じって最も盛り上がります。中には、自分たちのファリャが燃えるときには、感極まって泣いている人もいました。私たちも1週間程度の滞在でしたが、人形を組み上げる場面も取材をしていたので、感情移入してしまい、その涙の理由が少し分かる気がしました。

―この日のために手間をかけて作った人形だけに、感慨深いのでしょうね。

柳沢:もう1つ、注目なのが、オフレンダと呼ばれる献花パレードです。絹で作られた民族衣装を身にまとった人々が、街の大聖堂の前に作られた聖母子像へ赤と白のカーネーションを捧げていきます。その花で像が飾られていくのですが、人々の敬虔な想いが美しい母子像を完成させる様子は感動的です。こちらもぜひ見ていただきたいですね。

―オリンダのカーニバルの見どころはどこですか?

江夏:やはり、最終日に行われる巨大人形のパレードが最大の山場です。番組内にもしっかりと登場します。どの人形も派手なので、見ていて飽きません。番組でチェックしてほしいのは、ある男性と人形の物語。その人の顔と服装をそっくり真似て作られた人形が一緒になって行進していく様子は面白いですよ。オリンダの人にとって人形は家族であり、自身の分身でもあるというのが分かると思います。

―最後に、番組をご覧の方へのメッセージをお願いします。

柳沢:火祭りは、開催期間中、学校は休みになり、公共機関も、ほとんどストップしてしまいます。それほど街中が祭り一色になる行事です。バレンシアの人々の火祭りに懸ける意気込みをご覧ください。

江夏:バレンシアのお祭りでも準備の話がありましたが、オリンダの人々も、カーニバルのために1年間かけて衣装作りや踊りの練習を重ねています。彼らにとってカーニバルは“人生のすべて”といっても過言ではないほど、心待ちにしているのです。このオリンダの人々の情熱が映像から伝われば嬉しいですね。

世界遺産の歩き方

〜バレンシア〜
バレンシアは、最も有名なスペイン料理、パエリア発祥の地。
現在は、スペイン全土でさまざまな種類のパエリアを食べることができるが、
バレンシアでは特に、伝統の具カタツムリとウサギ、鶏肉のものが人気だ。

〜オリンダ〜
オリンダを訪れるならやはりカーニバルの時期がお勧め。リオデジャネイロのカーニバルは見物に行くものと言われるが、オリンダなら観光客も参加する感覚で楽しめる。ただし、人ごみの中ではスリなどに気をつけよう。