特集

国民的お祭りが行われる世界遺産の街

THE世界遺産ディレクター取材記

国を代表する2つのお祭り


―今回は“お祭り”をテーマに2つの世界遺産をご紹介するという、いつもとはちょっと違った趣向でお話を聞いていきたいと思います。まずは、バレンシアとオリンダ、それぞれどんなお祭りが行われているのかを教えてください。

国を代表する2つのお祭り

柳沢ディレクター(以下:柳沢):私が今回取材したのは「バレンシアの火祭り」です。これは、冬の終わりの3月15〜19日の5日間で開催される、“春を迎える”祭りなのですが、パンプローナの牛追い祭りとセビリアの春祭りと並んで「スペイン3大祭り」の1つとされています。その起源は、大工であった、キリストの養父ヨセフを祭る「聖ヨセフの日」に、大工たちが余った木材を燃やしたことにさかのぼります。この木材がやがて形を変えて、現在では巨大な人形を燃やす迫力あるお祭りとして知られています。

国を代表する2つのお祭り

江夏ディレクター(以下:江夏):オリンダで行われているお祭りとは、カーニバルです。カーニバルは、もともとはキリスト教徒が断食をする前に行うお祭りと言われていますが、ブラジルでは、黒人奴隷たちの宗教やインディオの文化などが融合したものになっています。ブラジルのカーニバルといえば、リオデジャネイロのものが世界的に有名ですが、サルヴァドール、そしてオリンダを加えて「ブラジル3大カーニバル」と言われていて、オリンダも負けずに盛大なお祭りとなっています。3日間の期間中210万人の観光客が訪れます。ほかのカーニバルとオリンダのものが決定的に違うのは、巨大な人形が登場するところ。バレンシアの人形は燃やされるそうですが、こちらの人形はカーニバルらしくパレードをするのです。