特集

小澤ディレクターインタビュー

アフリカ冒険I・II

―まるで今流行の“イクメン”ですね。しかし、オスが1頭しかいないのでは子育ては大変ではないのでしょうか?

小澤:今回取材した家族には4、5頭の乳離れした子どもがいました。子どもたちは寝ている父親の上に乗って遊んだりしていますが、知らんぷりで怒ったりはしません。ゴリラの父親の教育方針は、あれこれと教えるのではなく、自分の背中を見せて育てる、放任主義です。人間で言うと、“お父さん”というより“オヤジ”といったイメージでした。番組では子どもたちが父親のまねをして胸を叩いたり、毛繕いをする映像が登場します。このようにゴリラの子どもは遊びながら学習していくのです。

―それは微笑ましい映像ですね。最後に視聴者の方へメッセージをお願いします。

小澤:キリマンジャロに登って行くと、森から始まり、巨大高山植物の林、荒涼とした岩地、そして減少している氷河とさまざまに変化する景色が現れます。そうした変化を取材した私と同じような感覚で見ていただければと思います。また、2週目のカフジ・ビエガではゴリラたちを見ていると、人間の原点はサルの仲間だったことを改めて実感します。子どもたちを大事に扱っており、本当に幸せな家族そのもの。このゴリラの家族を束ねる“オヤジ”の存在感を感じてもらいたいですね。

世界遺産の歩き方

カフジ・ビエガ国立公園ではゴリラの見学ツアーが行われている。電話で予約し、公園の入り口で入場料を支払うと、レンジャーが同行してくれる。
ツアーには1時間の制限時間があるが、レンジャーが入場前にゴリラを探 しておいてくれるので、高い確率で出会うことができる。宿泊は、カフジ・ ビエガまで車で1時間ほどで、宿泊施設が多い街、ブカブがいいだろう。