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世界遺産の魅力を伝える新しい音色

―「地球のこどもたち」もすでに定番になりました。番組中でなくても、広大な風景などを見ていると頭の中にあのテーマが響いてくるという人もいるのではないでしょうか。

世界遺産の魅力を伝える新しい音色

服部:音楽は、長い間、何度も聞いてもらっているとだんだんと馴染んできます。そうすると特別な“魔法”がかかるんです。

―“魔法”ですか?

服部:はい。長い間番組で使われたり、テーマとして繰り返しかかる音楽は、熟成して独特のパワーを持つようになります。この「地球のこどもたち」も2008年に作ってから、宮本さんにコンサートで何度も弾いてもらっているし、今回も新たにアレンジを加えて録り直したことで、さらにパワーが増しました。

―“継続は力なり”は楽曲にも当てはまるのですね。今回、4年目にして新たなアレンジを加えるきっかけというのはなんだったのでしょうか?

服部:一言で言えば、作曲家の“欲”ですね。この曲は、『THE 世界遺産』のメインテーマとして長く使ってもらって、視聴者の方も何度も耳にされています。今後も5年、6年……と続いてほしいので、そのために進化させたいな、と思っていました。今までの曲は、雄大な自然や景色の美しさを表現するのに特化し、聴きやすいですが、世界遺産は歴史的な背景を見ると、非常に起伏に富んでいて、さまざまな面があると思います。そういった起伏をもっと音楽で表現しようと試みました。

―その新しい譜面を受け取ってどう思いましたか?

宮本:譜面いっぱいにぎっしりと服部さんの想いが詰まっているのが分かったので、最初にメインテーマのオファーをいただいたときのように、「ちゃんと弾けるかな?」という葛藤がありました。それと同時に、オーケストラとバイオリンの音色が合わさったときに「どんなハーモニーになるんだろうか?」とぞくぞくっとするものを感じたので、「一生懸命練習しないと!」と感じましたね。