特集
シルクロードの輝き
10月23日と10月30日の2週にわたってお届けする特集「シルクロードの輝き」は、これまでTHE世界遺産が取材してきた数々の世界遺産の中から、シルクロードに関連したものを、物や技術、文化の往来をテーマにご紹介します。今回の特集を担当した石渡ディレクターに特集の見所や番組作りの背景についてお話を聞きました。
―今回は「シルクロード」がテーマということですが、どのような世界遺産が登場するのでしょうか?
石渡ディレクター(以下、石渡):シルクロードというと、一般的なイメージでは中国から中東へつながる延々と続く砂漠の道や都市を思い浮かべるかもしれませんが、今回取り上げるのは、アジアから中東、ヨーロッパにかけての幅広い世界遺産です。そもそも今回、シルクロードをテーマにしたきっかけは、THE世界遺産の取材を重ねていく中で、「シルクロード」という言葉によく出会いました。そこで私たちはそれらの世界遺産を整理して関連づけていくことで、シルクロードをテーマに世界遺産をご紹介できるのではないかと考えたのです。
―それは面白そうな試みですね。実際に番組では世界遺産をどのように結んでいったのでしょうか?
石渡:番組を作るにあたって、シルクロードに関連する複数の世界遺産を整理しようとしたところ、意外と難しいことに気づきました。というのは、シルクロードは1本の道の名前ではなく、アジアとヨーロッパをつなぐ貿易や情報、文化の複雑な交流の総称であることがわかってきたからです。それに関わる世界遺産も多種多様で、特集としてまとめるのは容易でありませんでした。
―シルクロードは「道」ではなかったということですか?
石渡:もちろん交易路の中継地点としてかつて栄えた都市の遺跡が世界遺産となっているものもありますが、それよりもシルクロードという大きな流れでどういった品物や技術、文化が行き来したか、に注目したほうが面白いと今回は考えました。
―具体的には番組で注目したのはどういったものなのでしょうか?
石渡:今回取り上げたのは、「仏像」と「磁器」です。第1週目は、ヨーロッパからアジアへ「仏像」が伝わっていった様子をさまざまな世界遺産の映像を組み合わせてお見せます。普通、シルクロードというと、絹が中国からヨーロッパ、東から西へ伝わった貿易路だと思われるかもしれませんが、1週目はあえてその逆、西から東へも技術や文化が伝わっていた話をまずご紹介します。