特集

シルクロードの輝き

石渡ディレクターインタビュー

―「仏像がヨーロッパから伝わった」とおっしゃいましたが、仏教の起源はインドですよね?

シルクロードの輝き

石渡:実際に伝わったのはミロのヴィーナスなどの流れを汲む、ギリシャ彫刻とその技法です。ヨーロッパの彫刻芸術がシルクロードをつたってトルコを経由し、中央アジアに伝来しました。そこでギリシャ彫刻の技法を受けて、現在のパキスタン北部、ガンダーラでギリシャ彫刻の影響をうけた仏像が生まれます。その仏像がさらに東へと伝わり、最終的には奈良の東大寺にある大仏となったとされています。番組内に登場するギリシャ彫刻や仏像の映像をご覧になれば、それらの共通点を見いだすことができるでしょう。

―大仏の原型がギリシャ彫刻の技術を取り入れて作られたとは、意外ですね。もう一つの「磁器」について聞かせてください。

石渡:2週目は、1週目とは逆に東から西へ伝わったものに焦点を当てます。中国からヨーロッパに伝わったものは絹だけではありません。中国の景徳鎮という美しい磁器は、オスマン帝国の皇帝やマリー・アントワネットなど歴々の権力者が欲したとされ、今でもヨーロッパの宮殿には当時の景徳鎮が保存されています。そしてこの頃になると、シルクロードは陸路から海上を船で行き来するようになりました。

―なぜ陸路から海路と変化したのでしょうか?

石渡:戦争により陸路が封じられたり、時代が進むにつれ大量に運ぶことが必要となったことから、海路が発展していきました。このようにシルクロードとは、時代によって場所も伝わっていく物も大きく変化していったのです。番組は、1週目が紀元前から始まる話なのに対して、2週目は10世紀以降の話が中心になっています。