特集

第35回世界遺産委員会報告

6月19日より、第35回世界遺産委員会がフランスのパリで行われています。その模様を世界遺産のスタッフが現地からレポートしていきます。 レポートは到着次第、特集ページにアップしていきますのでお楽しみに!

委員会報告 4

6月21日

堤@パリ世界遺産委員会です。
この委員会は新しい世界遺産を決めるだけではなく、これまでに認定した世界遺産の保存状況をチェックするのも大きな役目です。
特に、開発や戦争などでピンチにある世界遺産は「危機遺産(World Heritage in danger)」としてリストアップし、当事者にプレッシャーをかけて改善を迫ります。
今日は、すでに「危機遺産」リストに登録されているものの再評価が行われました。ほとんどが状況は改善されず「危機遺産」のままだったのですが、一件だけインドの「マナス野生生物保護区」が、危機遺産リストから外されました。民族紛争の中で受けたダメージから、回復したと認められたのです。
「危機遺産脱出」が決まった瞬間、議長が「おめでとう!インド」と祝福し、会場は拍手で包まれました。
なにぶん内紛や経済開発という難しい事情からピンチになっているものが多く、いったん危機遺産となってしまうと、そこから抜け出すのは滅多にないようです。インドへの参加各国の拍手からは、危機遺産脱出の「重さ」が伝わってきました。
たまたま、この6月21日は、フランスの「音楽祭りの日」でした。普段は街角でライブ演奏したりするのは禁止されているのですが、この日は規制がなくなり、パリの下町のいたるところで路上ライブが行われ、深夜まで飲めや歌えの大騒ぎ。街全体が、インドの危機遺産脱出を祝っているかのようでした。 翌朝、散歩をすると、あちこちに空いた酒瓶が・・・・・・ヘミングウェイの書いた通り、パリは「移動祝祭日」です。

プロデューサー 堤

パリ・カルチェラタンでの路上ライブに集まるご機嫌な人々
パリ・カルチェラタンでの路上ライブに集まる
ご機嫌な人々
祭りから一夜明け、街は空き瓶だらけ<
祭りから一夜明け、街は空き瓶だらけ