特集
6月19日より、第35回世界遺産委員会がフランスのパリで行われています。その模様を世界遺産のスタッフが現地からレポートしていきます。 レポートは到着次第、特集ページにアップしていきますのでお楽しみに!
委員会報告 5
6月22日
堤@パリ世界遺産委員会です。
昨日の委員会では、「危機遺産(内紛や開発などで保存状況がピンチになっている世界遺産)」としてすでに登録済みのものについて再評価が行われ、インドの「マナス野生生物保護区」が危機遺産から脱しました。
今日はその逆で、新しく「危機遺産」入りする世界遺産についての討議です。すでに候補はリストアップされていて、それぞれ危機遺産として登録するかどうか決めていきます。
危機遺産になるとは、保存について究極のダメ出しされることなので、その国にとってかなり不名誉で出来れば避けたい事態です。
ところが今回、中米の「リオ・プラタノ生物圏保護区」が、当事国であるホンジュラス政府からの要請で「危機遺産」入りしました。密猟&密漁、不法伐採、特に麻薬密売組織の存在と治安の悪化・・・・・・こうした脅威に対して国際的な支援を集めるために、自ら「危機遺産」入りする道を選んだのです。
世界遺産を守るためには、こういう逆手に取ったやり方もあるんだなあと感じ入った次第です。
もうひとつ、新たに「危機遺産」入りしたのが、インドネシアの「スマトラの熱帯雨林遺産」。こちらは逆手に取ったものでもなんでもなく、不法伐採、農地としての不法占拠、道路の建設計画というストレートな理由でした。
自然遺産の場合、最大の脅威はこうした人類の活動そのものであることを思い知らされ、同じ人類の一員として気が重くなった一日でした。
プロデューサー 堤
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