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インカへ続く古代の歴史

ロマンあふれる古代文明 インカ文明のルーツに迫る

インカへ続く古代の歴史

13世紀頃にはじまり、ペルー、ボリビア、エクアドルを中心に、最盛期にはチリ、アルゼンチン、コロンビアなどを含める南米、アンデス地方一帯を広く統治した、インカ帝国にまつわる古代文明です。総人口1600万人もの人々を統治するために、首都であったペルーのクスコを中心に「インカ道」と呼ばれる街道や、灌漑施設の整備を行いました。また、石を隙間なく組み上げる建築技術や金銀の加工技術、ミイラ製造など、幅広い分野にわたって高い技術を持っていたとされます。

インカへと受け継がれた数々の文化「プレインカ」とは?

ナスカの地上絵で有名なナスカ文明や、ペルーとボリビアの国境付近に位置するチチカカ湖のほとりに栄えたティワナク文明など、インカ帝国以前にアンデス地方に存在した諸文明のことを指します。インカ帝国はこれらの文明を吸収したため、石工や金工をはじめとする、様々な分野での高い技術力を保持することができました。

インカのすべてIに登場する世界遺産

インカへ続く古代の歴史

文字の代わりの不思議な縄
「カラル=スペ」

約5000年前に存在したアメリカ大陸で最古の都市遺跡です。この文明では文字を持っておらず「キープ」と呼ばれる縄に結び目を作ることで、数字などを現していました。この「キープ」はインカ文明にも受け継がれています。

インカへ続く古代の歴史

古代文明のバイオテクノロジー
「チャビン・デ・ワンタル」

紀元前1500年から200年頃に、ペルーの中部にあるワスカランという山のふもとに栄えた、チャビン文化が残した遺跡です。このチャビンの時代からすでに標高3000mをこえる高地でも様々な作物の栽培を始めていました。この技術が、インカの高度な農耕社会の発展につながっていると考えられています。

インカへ続く古代の歴史

地球はキャンバス、古代人が描いた謎の絵
「ナスカとフマナ平原の地上絵」

ペルー南部のナスカ地方の平原に描かれた、巨大な絵。この地方に住む人々は狩猟や農業を生業としていました。そのため、この絵が描かれた目的は、雨乞いの儀礼のためという説がありますが、ほかにも社会事業説など諸説あり、いまだ解明されていません。

インカへ続く古代の歴史

インカを支えた建築技術
「ティワナク」

ティワナクは、ペルーとボリビアの国境に位置するチチカカ湖のほとりにある遺跡です。この遺跡はインカ文明の遺跡に似ていて、綺麗に磨かれ隙間なく積まれた石段や石壁は、非常に高い石積みの技術を持っていたと推測されます。インカ帝国はこの技術を吸収し、都市の建設などに応用しました。

インカへ続く古代の歴史

世界最先端の黄金文化
「チャン・チャン」

1986年に文化遺産に登録された遺跡。チャン・チャンはペルーの北西部に栄えたチムー王国の首都で、南米に存在していた古代都市の中では最大のものです。チムー王国では金、銀などの加工が盛んに行われており、王冠などの装飾品が多数出土しています。その技術がインカ帝国に受け継がれました。