特集

ナイル川の源流へ ルウェンゾリ山地国立公園

小澤ディレクターインタビュー

アフリカを流れるナイル川は、全長約6650メートルの世界最長級の河川。古代の歴史家が「エジプトはナイル川の賜物」と表現したように、ナイル川はエジプト文明をはじめ、その流域の人間の文化や生活に昔も今もさまざまな影響を与え続けてきた偉大な自然であります。ウガンダのルウェンゾリ山地国立公園は、そのナイル川の"源”を抱いた山々がある世界遺産です。その手つかずの自然の中にある大河の源を目指して、10日間歩き続けるという過酷な取材を終えた小澤ディレクターに、ルウェンゾリ山地の自然の魅力と、ナイル川と人々の関わりについてお話を伺いました。

Q:ウガンダというと、あまり日本人になじみのない国ですが、実際に訪れてみての印象は?

ウガンダは、アフリカ東部にある5つの国に囲まれた内陸の国です。まだ観光に力を入れだしてから間もないためか、観光国として知られる隣国ケニアと比べると、ウガンダの人々からは、世間擦れしていない、素朴で無口な印象を受けました。

Q:ルウェンゾリ山地国立公園は、どのような世界遺産なのでしょうか?

ナイル川の源流へ ルウェンゾリ山地国立公園

ウガンダ西側の国境付近にあるルウェンゾリ山地の標高2100メートル以上の地域が公園の範囲となっていて、面積は99600ヘクタールと、かなり広大な自然遺産です。そのエリアが、人による開発が入っていない自然の状態で残されています。例えば、苔むした木々がうっそうと生い茂る密林や、不思議な光景を作り出す高山植物、赤道直下にも関わらず氷河のある山々など、多様な自然が特徴です。

Q:手つかずの自然ということはルウェンゾリには人間が住んでいないのでしょうか?

ナイル川の源流へ ルウェンゾリ山地国立公園

いいえ。「バコンジョ」と呼ばれる現地の人々が住んでいて、彼らはルウェンゾリを聖なる山として大切に保護しながら暮らしています。今回の取材では、そのバコンジョの人々の協力を得て、彼らの村からルウェンゾリ山地の最高峰である標高5109メートルのマルガリータ峰の氷河まで10日間に渡って撮影を行いました。