特集

「失われた世界」を冒険する!カナイマ国立公園

冒険家たちをかき立てた「黄金郷」伝説

冒険家たちをかき立てた「黄金郷」伝説

小説で描かれたような生きた恐竜はいなかったとはいえ、ギアナ高地には動植物以外に、まだまだ人々を惹き付けてやまない魅力がありました。それは、貴金属や宝石などの鉱物です。土地の隆起によって出来上がった台地には、金やダイヤモンドなどの鉱脈が眠っていると推測されています。番組では、川床がジャスパー(宝石の一種)の原石が一枚岩になっているハスペの滝や、天然の水晶が地表にむき出しに現れているクリスタル・バレーなど、ほかでは見ることのできない光景を紹介します。

20世紀初頭、人々はテーブルマウンテンに「黄金郷」を求め、森林や山河に分け入りました。もちろんドイルも「黄金郷」伝説を耳にしていたのでしょう。「失われた世界」の最終末に、この山のお宝を使ったオチを用意しています(これ以上はお話のネタばらしとなってしまうので、詳しくは「失われた世界」を読んでみてください)。

果てしなき冒険の地、ギアナ高地

果てしなき冒険の地、ギアナ高地

さらに番組では、ロライマ山以外のテーブルマウンテンの1つであるサリサリニャーマの取材を行っています。「人をさらって食べてしまう魔物が棲んでいて人を食べるときにサリサリと音を立てる」という原住民の不気味な伝説がサリサリニャーマの名前の由来です。

この山には直径350m、深さ350mの巨大な穴があることが知られていますが、足場が不安定で近づくことが難しいため、発見以来40年ほど経ったいまも本格的な調査はほとんど行われていません。今回、取材班は、この穴へ降り立ち、その独自の生態系を持つ自然を映像に収めています。特に注目なのは、謎の茶色い堆積物。その正体は? ぜひ番組でその摩訶不思議な自然をご覧になってください。

ドイルは“失われた世界”について次のように作中で記しています。
“ここもやがては狩猟家と鉱山師に荒らされて俗化してしまうかもしれない。しかしわたしたち四人にとっては、多くの冒険をおかし、困難に出あい、しかも多くの事柄を学んだ光輝とロマンスの夢の国なのだ”

果てしなき冒険の地、ギアナ高地

現在、ロライマ山は登山道が発見されて一般のトレッカーでも上ることのできるようになりました。しかしギアナ高地のテーブルマウンテンの多くはいまだ人を寄せ付けず、地球最後の秘境と呼ばれています。ギアナ高地には、いまだ“ロスト・ワールド”が残っているようです。ぜひ「THE世界遺産 カナイマ国立公園I・II」をご覧になって、ドイルが空想の世界を旅したような未知の体験をお楽しみください。