特集

「失われた世界」を冒険する!カナイマ国立公園

ロスト・ワールドの真の姿とは?

The Lost World

「ドイルが描いた「失われた世界」はフィクションですので、もちろん実際のロライマとは異なるところがいくつもあります。まず当然ではありますが、台地の上に恐竜などの大型の絶滅種が生き残っているということはありません。ドイルの描写では植物がうっそうと茂っている台地ですが、実際のロライマの山頂は、降水量が多く土が流されてしまうためか、岩だらけで土壌はやせていて、一見すると大型動物はおろか、生き物の存在しないかのような荒涼とした風景が広がっています。

しかし、外界から隔絶された独自な環境であることは小説の台地と同じです。この土地で確認された植物のうちの75%、およそ3000種が、ほかにはない固有のものなのです。こうした生態系の様子と、ロライマ以外のまだ人の侵入を許していないテーブルマウンテンが数多くあることを聞いたドイルは、もしそのどこかに大型の生き物が棲息していたら、と想像を膨らませていったのでしょう。

ロスト・ワールドの真の姿とは?
番組では、強風や紫外線などから身を守るために、独自の進化を遂げたユニークな植物をふんだんにご紹介します。また、水かきがなく泳ぐこともジャンプすることもできないオリオフリネラという珍しいカエルの映像もお届けします。このカエルも独特の種で、おそらく地面が隆起する以前からこの土地に住んでいたカエルの子孫ではないかと考えられています。

「失われた世界」の探索隊メンバー、サマリー教授はテーブルマウンテンの成り立ちについて「この台地全体の形成をみても、まちがいなく火山性だ」と語っています。しかしこれはロライマ山の成り立ちとは異なり、実際のギアナ高地のテーブルマウンテンは、地面が隆起したあとに、固い岩盤の部分だけが土壌の浸食から残されて切り立ったものなのです。ギアナ高地の地層からは18億年前の岩盤が確認できるそうです。この古い土地は、南米とアフリカにしか見られない植物が自生しており、かつてゴンドワナとして2つの大陸がつながっていたことを証明しています。放送では、そんな太古からのメッセージともいえる植物もご覧いただけます。