特集

知床〜大自然の繊細美と生命の真実に迫る〜

西澤ディレクターインタビュー

知床〜大自然の繊細美と生命の真実に迫る〜

Q:ほかにどのような見所がありますか?

普段は沖合で暮らしていて子育てのときに流氷の上をすみかにするクラカケアザラシ、丸い体がユーモラスな魚・ナメダンゴなど、長期にわたる取材だからこそ撮ることのできた貴重な映像が盛りだくさんになっています。

Q:長期間にわたって知床を見てきた西澤さんから、実際に知床に観光に訪れる人へ、ここは見てほしいなどといったお勧めのポイントがありましたら教えてください。

知床〜大自然の繊細美と生命の真実に迫る〜

知床を楽しむということで言えば、今年は流氷の勢力が強いそうなので、オホーツク海側のウトロなどで海氷の上を歩く「流氷ウォーク」なども充分楽しめるかもしれませんね。あと、いま個人的にお勧めなのは観光船です。根室海峡側で運行している観光船に乗ると、春からゴールデンウィークにかけてはシャチ、夏はマッコウクジラといった海の動物を見ることができたりします。自然が相手なので、文化遺産のように訪れれば必ず見ることができると言えないのが難しいところですが、ちょっと腰を落ち着けて滞在してみると“自然とのいい出会い”があったりします。番組では、もちろん船から撮ったシャチやマッコウクジラの姿をご紹介します。また水中マイクで彼らの声も録音しました。マッコウクジラが「クリックス」という音を出して獲物を探す音や、シャチがお互いにコミュニケーションするための声を録れたのでぜひ聞いていただきたいです。

Q:最後に、番組をご覧になる方へメッセージをお願いします。

知床〜大自然の繊細美と生命の真実に迫る〜

流氷は、知床の豊かな自然の源の1つとして大事な要素です。専門家による報告では流氷の面積が27年間で20パーセントも減ったそうで、流氷の勢力が弱まっている原因が温暖化なのかどうかを今調べているところです。北半球での流氷の南限ということは、地球規模の環境の変化が現れやすい場所と言えるでしょう。知床は自然遺産としても価値がありますが、「地球環境のセンサー」としても注目を集めています。知床の自然が守られていくということは、地球全体の自然環境を守る上でのバロメーターとなるのではないでしょうか。そういった意味でも知床の自然を見つめることは重要だと私は思っています。そんな知床を過去10年以上にわたって撮りためた映像の中から選りすぐってご紹介しますので、楽しみながら自然を感じていただけると嬉しいですね。