特集

知床〜大自然の繊細美と生命の真実に迫る〜

西澤ディレクターインタビュー

知床〜大自然の繊細美と生命の真実に迫る〜

知床は、560平方キロメートルほどの地域に、海・川・森といった豊かで多様な生態系を抱いた自然遺産です。そのエリアは北海道東端にある知床半島およびその沿岸海域で、日本で初めて海洋を含めた世界遺産として2005年に登録されました。流氷(海氷)が漂着する海岸としては、北半球で最南端であることでも知られる知床を、世界遺産に登録される以前から10年以上にわたって取材し続けてきた番組ディレクターの西澤敏氏(北海道放送)に、今回の見どころを聞いてみました。

Q:まず世界遺産・知床の魅力を一言でいうと?

知床〜大自然の繊細美と生命の真実に迫る〜

一言でいうならば、「ここが本当に日本なのか」と思うほどの驚きがある自然です。知床は、大陸的な雄大さと日本的な繊細さの両方を兼ね備えた自然がある場所と言えます。オホーツク海のロシア沿岸から流氷(海氷)が流れてくるダイナミックな面があるかと思えば、その流氷に付着してきた植物プランクトンが海を豊かにするというミクロで複雑な世界も持ち合わせています。実際に登録されている地域も知床半島およびその周辺沿岸だけなので、面積自体それほど大きくありません。私は、よく知床のことを「小さな宝石」と表現したりしています。

Q:西澤さんが知床での取材を始めたのはいつごろからでしょうか?

15年前に流氷を撮影したのが最初で、その後、取材を重ねてきました。世界遺産に登録された2005年に一度「世界遺産」で知床を紹介する番組を作りました。その頃からハイビジョンの水中カメラを、地元の水中写真家の方に預けて長期にわたって知床の海を撮影してもらっています。最近は船から海の生き物を撮影するなど、以前とは違うアプローチでの取材もしています。あまり船に乗ってばかりいるので、観光船に乗ったひとからガイドを頼まれたりすることもありました(笑)。

Q:「THE世界遺産」での2度目の番組作りということですが、今回はどのような知床を紹介する予定でしょうか?

前回は、世界遺産に登録された直後ということもあって、まずは知床の自然をありのままに可能な限り網羅的に紹介しました。それに対して今回は、知床の個々の部分をもう少し掘り下げてご紹介しています。