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サウンドエンジニア土方裕雄さんの5.1ch サラウンド講座

インタビュー

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Q:5.1ch用サラウンド録音にはどんな機材が使われているのですか?

サウンドエンジニア土方裕雄さんの5.1ch サラウンド講座

一番特徴的なのはやはりマイクロホンですね。
よくドラマやバラエティの撮影現場などで、長いポールの先に大きなマイクが付いたいわゆるガンマイクを見たことがあると思います。あれが一般的な形で、1チャンネル・モノ、又は2チャンネルのステレオ収録用です。私が使っている5.1ch用のマイクは、前方向と後ろ方向2セットのマイクロホン・システムが1本のステレオ・マイク・アームに取り付けられています。普通に考えたら、前後左右それぞれの方向の音を収録しなくてはいけないので、最低でも5本マイクが必要になるわけですが、5本もレイアウトするのは大変で機動力も落ちます。そこで自分が現場で使いやすようマイクアレンジしたのが今の形です。

写真を見ていただければ一目瞭然ですが、カバーを取ると中に3つマイクがありますよね、それを2セット、合計6本のマイクを使っているということになります。ちょっと難しい専門用語で言うとMS方式(M…mid S…Side)と言って普通の5.1ch用とは違う形なのですが、現場で録音した音をミックスの段階で映像の内容に合わせて振り分けたり、調整したりできるというのがこの録音方式のメリットです。撮影する際に求められるのはやはり機動力。動物を発見したら、素早く移動し、収録しなければせっかくのチャンスを逃してしまうので、なるべく簡単でフットワークを軽くできるシステム尚且つ高感度なマイクとは? と追求した結果、今の方式にたどり着いたというわけです。

Q:他に特別な機材はありますか?

サウンドエンジニア土方裕雄さんの5.1ch サラウンド講座

マイクの他に、普通のステレオ録音でも使っているようなポータブルミキサー1台とマルチトラックレコーダーという機械が2台、合計3台を背負って撮影しています。
ポータブルミキサーというのは、例えば普段VTR取材に出かけると、ガンマイクで取材相手の声を拾いながら手元で音の大きさを調節したりします。それと同じ使い方です。マルチトラックレコーダーというのは、普通のステレオ録音では使わない5.1chサラウンドならではの特別な機材で、1台につき4ch分の音を記録する事ができるハードディスクレコーダーです。
現場では録音しながらどの音がどの方角から聞こえてくるのかすべては聴き分けられないので、とりあえず現場ではフロント2ch分をモニターして、ハードディスクレコーダーには全チャンネルをそのまま録音します。そして、仕上げの音響効果の作業時に5.1chサラウンドのレイアウトに振り分けるのです。