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バチカン市国

高城プロデューサーインタビュー

バチカン市国

▲今回バチカン市国を放送する事となった理由とは?

「バチカン市国」は、2002年12月に1時間スペシャルとして放送して以来、再放送の要望が絶えずTBS宛てに送られてくる大変に人気の高い世界遺産のひとつ。もっと言うと1996年に放送が始まって14年目になりますが、不動の視聴率ベスト3に入っているサイトです。ちなみに、第2位は「レオナルド・ダ・ヴィンチ作『最後の晩餐』があるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院」。第1位が、ブラジルとアルゼンチンの国境に轟然と水煙をとどろかせる「イグアスの滝」です。 なので「バチカン市国」は、以前からもう一度取り上げたいとは思っていたのですが、タイミングや制約がありまして…。

▲制約とは具体的に?

そもそも世界一小さな国ではありますが、世界中で10億ものカトリック教徒の信仰の拠り所となる総本山です。取材となるとなかなか敷居が高く、世界のテレビ局が撮影申請をしてもいつでも許可がもらえるという場所ではありません。なかなか実現できませんでした。(実際、報道ニュースなどでサン・ピエトロ広場が映る事はあっても、バチカン市国内にある美術館を丁寧に捉えた映像は少ないのではないでしょうか?) そういった中で、システィーナ礼拝堂にミケランジェロが描いたフレスコ画『天地創造』や『最後の審判』、さらにはサン・ピエトロ大聖堂にある傑作彫刻『ピエタ』等を、あれだけ丁寧かつ克明に記録できた7年前の放送は、やはりとても貴重な作品。それゆえに、今でも高い関心を持って皆様からリクエストいただけるのではないでしょうか?  それならば、その「バチカン市国」を再度見たいと思っている方々だけでなく、18時に時間帯が変わって「THE 世界遺産」からの視聴者の皆さんにも、ぜひ見ていただきたい!そういう想いとタイミングが合い、もう一度ロケが実現できました。

▲今回の見どころとなるポイントを教えてください

バチカン市国

今回の放送にあたっては、「バチカン市国」の決定版にしたい。と言うことで、新たにサン・ピエトロ大聖堂の地下に眠る歴代教皇のお墓や、4月12日に行われたばかりのイースター(復活祭)のにぎわい。スイス衛兵の姿、その青・赤・金のカラフルな制服はミケランジェロがデザインをしたと言われていますが…、これら前回に紹介しきれなかった内容を加え、国家としてのバチカンの一面にも触れたいと考えました。もう1点、極めて重要なことがあります。実は4年前にヨハネ・パウロ二世が逝去され、ローマ教皇は新たにベネディクト十六世が選出されました。ですから新ローマ教皇のお姿も、映像におさめないといけない。寺尾聰さんがナレーションで、「ここは、コンクラーベという教皇を選ぶ選挙が行われた場所としても知られています」と語ってくれたシスティーナ礼拝堂で、本物のローマ教皇選挙が実施された訳です。月日が流れると、色々なことが起こるものです。 そしてもう一つ、番組の軸となるテーマとして、バチカンに関わる天才たちの中でも特にミケランジェロ。そして、ミケランジェロを受け継いでサン・ピエトロ大聖堂を完成させた天才建築家ベルニーニ。この二人の天才に焦点を当て、バチカンだけでなく、フィレンツェやローマにある彼らの作品を通して、より立体的に「美の殿堂」たる姿を表現します。瞳の中のハートまでくっきりと撮影できた『ダヴィデ像』など過去のライブラリーからの選りすぐりの映像と、新たに加わる映像とが溶け合って、ニューバージョンであり、かつ決定版とも言える世界遺産「バチカン市国」ができるのではないでしょうか? 

▲番組をご覧の方へひとこと

一つ一つの点としてしかお見せできなかったサイトも、番組自体に歴史的な厚みが出てきた事で、線や面として立体的にお見せすることが可能になってきました。13年間ストックしてきた映像を惜しみなく使い、伏線をひっぱり、より多角的に視聴者の皆さんにお届けします。今だからこそできる「バチカン市国」です。

前回と同じ、日下ディレクターが必死に撮影してくれている最中ですから、まだ最終的にどういう形になるのか私には分かりません。やはり、ディレクターが現場で感じた事や一番見ごたえのある絵面にあがった映像を中心に据えて、編集した方がベストですから…。 どういう方向に行くのか、私も楽しみです。