特集

フレーザー島 (オーストラリア)

愛場ディレクターインタビュー

Q:おススメの観光スポットは?

海、湖、砂丘とアクティビティーには適した土地柄なのでどこもおススメなのですが、しいて言うならば東側の海岸線にある75マイルビーチ。約120kmという距離をまっすぐ車で走れる場所なんてそうありません。
実際、撮影で走ってみたんですけど、まさに「爽快!」の一言。残念ながら僕たちが行った時はちょうど夕方が満ち潮の時間だったので、じっくりは撮れなかったんですけど、太陽が沈む頃は海がオレンジ色に染まってさらに美しいらしいですよ。オーストラリア在住の今回のコーディネーターさんも「あそこまでキレイなビーチはオーストラリア中を探してもない!」と言っていたほどですから。

でも、本当に障害物もなくひたすらまっすぐなので、運転している人は途中で眠くなってしまうかも? と言っても、走るのは舗装されていない砂の道、気を緩めると砂や波にハンドルをとられてしまうので、気をつけてくださいね。

Q:撮影中に苦労した事はありましたか?

フレーザー島 (オーストラリア)

撮影は2月だったのですが、その時期はちょうど1年を通して一番嵐が多い時期らしく、雨には悩まされました。この島を撮るに当たって、雨は重要な役割をしているのでありがたくもあったのですが、晴れた日が4日間しかなかったのは辛かった…。 大雨のせいで滞在していたホテルが停電してしまい、急遽、別の町に移動したりもしました。まぁ、移動するのは構わないんですが、実はフレーザー島にはアスファルトで舗装された道路が一箇所もないんです。だから、地図で見ると近くても、アップダウンの激しい砂の道は想像以上に辛い。夕方17時頃になると真っ暗になってしまうので、迷子になるのでは? とヒヤヒヤしましたよ。
あとは、虫!今回の撮影ではオーストラリアの世界遺産を3箇所撮影してきたのですが、ウルル(エアーズロック)の時は異常発生したハエに悩まされました。顔はとりあえず網の付いた帽子でガードしたものの、網の表面というより体中にたかる無数のハエに耐えながらの撮影はきつかった。タスマニアではヒルに血をすわれるしし、最終ロケ地であるフレーザー島で待ち受けていたのは…、アブ。人間のいる場所が分かるのですかね?
ものすごい数が僕らに集まってくるんですよ。集まるだけならまだしも、蚊やヒルなら刺す時に麻酔薬のような液を出すじゃないですか、でも彼らは容赦なく突然に刺してくるので、ものすごく痛い! しかも、綺麗な映像を撮っている最中も、カメラのレンズ前を横切って映像に入るため、何度も撮影をやり直していました。でも、本編はそんな苦しさを感じさせない美しい映像で表現されているのでご心配なく。

Q:番組をご覧の方にひとこと

フレーザー島 (オーストラリア)

フレーザー島はレジャーとして訪れるのには、すばらしい場所です。
でも島の歴史を知ると、自然と人間の関わり方を深く考えさせられます。
フレーザー島は、もともとアボリジニという先住民族がいた島。そこへ欧米人が入植し、木材伐採や鉱物資源発掘をした時代がありました。でも、その後の市民運動の働きかけによって91年に木材伐採が終わり、翌年に世界遺産に登録された経緯があります。

この島では、どこへ行ってもまるで映画に出てくるような楽園の世界がありますが、 今や手厚い保護の手なしには存在し得ない、危ういものでもあるのです。
観光客が泊まるホテルの1つでは専門のレンジャーによるエコツアーやホテル内のシステムにおいても環境に負荷を与えない廃棄物処理や汚水処理などのシステムが整っています。かけがえのない自然の大切さを知るには貴重な場所だと思います。 今回、僕は取材で初めて訪れましたが、この島は知れば知るほど、不思議で面白い。でも、全ての根底にあるのは、やぱり砂。島の土台となったり、植物の養分となったり、砂は形を変えて様々な奇跡を見せてくれる。やっぱりここは砂が主人公の島なんですね。
番組を通じて、皆さんに砂の不思議や魅力を少しでも伝えたいと思っています。