特集

フレーザー島 (オーストラリア)

愛場ディレクターインタビュー

Q:フレーザー島とは?

フレーザー島 (オーストラリア)

オーストラリアの東側、グレートバリアリーフの南端に位置しています。島は、南北に122km,最大幅25kmで世界最大の砂の島として1992年、世界遺産に登録されました。
「砂の島」と言うと草も生えない乾燥した砂漠地帯を想像するかもしれませんが、空撮で島を上から見ると、砂よりも先に青青とした森が目に飛び込んできます。たぶん映像だけ見ると、普通の島と勘違いしてしまうかもしれませんね。ですが、そこがこの島の面白いところ。土台が砂でありながらも島の中には森もあり、湖もあり、湿地もある。普通ではありえない、なんとも不思議な光景です。僕も取材をしながら何度も「なんで? どうして?」と思いました。今回は、そのいくつもの不思議を番組の中で紹介していけたらなと思っています。

Q:森の地面もやはり砂なんですよね?

フレーザー島 (オーストラリア)

そうなんです、全て島の地面は砂。なのに、表面の比率で言うと砂より森の方が多いんですから、不思議ですよね。
最初は砂だけだった島に、ある日、偶然鳥が糞を落とし、その養分を元にして雑草のような植物が1本生えました。やがてそれが枯れると、砂の中に残った養分を吸収してまたひと回り背の高い植物が生えました…。と、こんな営みがひっそりと繰り返された結果、約40m級の高さの熱帯雨林に成長。そんな場所がいくつも点在しています。

フレーザー島 (オーストラリア)

さらに、世界最大のシダ類キングファーンや、食虫植物、寄生植物など多様な植物がミックスしてひとつの森を形成しているのも不思議というか、この島の魅力になっていますね。
あと、現場で面白いなと感じたのは、砂丘のすぐ隣に森があったり、砂丘の真ん中に枯れた木が一本だけ残っていたりする場所があるんです。先ほど比率で言うと森の方が多いと言いましたが、それは現在の段階での話。昔は砂だった所に、木が生えて徐々に森となり砂が消えていく場所もあれば、逆にもともと森だった所に、海風に乗って流れてくる砂が森を覆い、木が消えていく場所もある。人間の知らないところで静かな戦いというか、 森と砂とのせめぎ合いが過去から現在、未来にかけて続いているんですよね。