第十一話 津田寛治さん ― 前編
―台本を読んだ感想は?
まずは、すごくスピーディーな展開だなと感じました。それと、安積ハンチョウという人となりが、よく描かれているとも思いましたね。そのハンチョウに対して、対極にいるのが今回の自分の役だったので、これはすごくおもしろそうだと感じました。
蔵之介さんが、僕が演じる滝本という人物を「ただのヒールではなくて、この滝本という男も“正義”を信じていて、日本の平和を守るために、警察という組織がキチンと機能してほしいと願っている人間だから、悪いヤツではないと思っています」とおっしゃってくれたのが僕の心に残っていて、特にラストのシーンは、滝本の想いが終結したシーンになったと思います。
―演じられた滝本哲也という人物はどんな男性でしょうか?
まず11話の台本をいただいたときは、これぞ警視庁の刑事という感じで、胸に着けている赤バッジに対する誇りが、すごく高い人物だと思いました。捜査一課で刑事をやっているというモチベーションを、めちゃくちゃ持っている男なんでしょうね。検挙率も高くて、正義のためなら、冷徹にもなれるという感じの男だと思います。
―滝本を演じる上で気をつけたことは?
あまり表情に、変化をつけないようにした方がいいのかなと思って、そこは気をつけていました。例えば、話のやり取りの中でも、あまり表情を変えずに、バババっと情報だけをしゃべるというか。言い換えれば、余計な感情が入ることを嫌っているという感じ。
ただし、テンションが低いとか、熱が冷めているという感じには見られたくなかったので、常に怒りを抱いているように見えればいいな、と考えていましたね。楽しいとか悲しいといった感情は、あまり好きな男ではないと思うんです。そういった感情に揺さぶられて、捜査がブレることを嫌う刑事、というイメージで演じました。
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