ジャコメッティ展

展覧会概要

スイスに生まれ、フランスで活躍したアルベルト・ジャコメッティ(1901-1966年)は、20世紀のヨーロッパにおける最も重要な彫刻家のひとりです。アフリカやオセアニアの彫刻やキュビスムへの傾倒、そして、1920年代の終わりから参加したシュルレアリスム運動など、同時代の先鋭的な動きを存分に吸収したジャコメッティは、1935年から、モデルに向き合いつつ独自のスタイルの創出へと歩み出しました。それは、身体を線のように長く引き伸ばした、まったく新たな彫刻でした。ジャコメッティは、見ることと造ることのあいだで葛藤しながら、虚飾を取り去った人間の本質に迫ろうとしたのです。その特異な造形が実存主義や現象学の文脈でも評価されたことは、彼の彫刻が同時代の精神に呼応した証だといえましょう。またジャコメッティは、日本人哲学者である矢内原伊作(1918-1989年)と交流したことでも知られ、矢内原をモデルとした制作は、ジャコメッティに多大な刺激を与えました。

本展覧会は、南フランスにあるマーグ財団美術館のコレクションを中心としたジャコメッティの大回顧展です。この稀代の彫刻家の作品を数多く所蔵するマーグ財団美術館は、パリとチューリヒのジャコメッティ財団と並んで、世界3大ジャコメッティ・コレクションの一角を占めています。本展覧会には、ジャコメッティの貴重な作品を所蔵する国内コレクションのご協力も仰ぎつつ、初期から晩年まで、彫刻、油彩、素描、版画など、選りすぐりの作品、約135点が出品される予定です。

見どころ

見どころ1

20世紀を代表する彫刻家、ジャコメッティの大回顧展

細長く引き伸ばされた人物像で知られるジャコメッティ。人間の存在を突きつめたその特異な造形は、20世紀の彫刻に新たな地平を切り開きました。本展は、日本で開催されるジャコメッティ展としては11年ぶりの個展であり、初期から晩年まで、彫刻約50点、絵画約5点、素描と版画約80点が出品される大回顧展です。

見どころ2

ジャコメッティの代表的な彫刻が集結

ジャコメッティの彫刻には、豊かなヴァリエーションがあります。キュビスムやシュルレアリスムなどに影響を受けた第二次世界大戦前の試み、モデルを前にして制作された彫像、わずか数センチの小さな人物像や複数の人物を組み合わせた群像、そして、細長い人物像まで、あらゆる時代の代表作が一堂に会します。

見どころ3

ジャコメッティの不断の探究を伝える素描や版画、写真

ジャコメッティは、モデルを前に、あるいはモデルの記憶をもとにして人物を描き、彫刻を制作しました。本展に出品される、アトリエの内部やモデルとの制作の様子を表す素描や版画、記録写真を通じて、ジャコメッティの創作の秘密に迫ります。

見どころ4

実現しなかったチェース・マンハッタン銀行のための大作3点

チェース・マンハッタン銀行からの依頼を受けて、ニューヨークの広場のために制作された3点の大作、《歩く男Ⅰ》《女性立像Ⅱ》《大きな頭部》がそろって出品されます。このプロジェクトは実現しませんでしたが、最晩年のジャコメッティの挑戦を、壮大なスケールによって体感いただきます。

見どころ5

マーグ財団美術館のジャコメッティ・コレクション

パリとチューリヒのジャコメッティ財団と並び、世界3大ジャコメッティ・コレクションのひとつとして名高いマーグ財団美術館。2010年には、「ジャコメッティとマーグ」と題した大規模な展覧会も開催されています。本展覧会は、マーグ財団美術館の全面的な協力を得て実現されるものです。

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