インタビュー
船越英一郎さん(田向健三役)
放送に先駆けて行われた制作発表記者会見。登壇した石井プロデューサー、主演の一路真輝さん、共演の高島礼子さんが和やかに「ガールズトーク」を展開!?ドラマへの想いなどを伺いつつ、雰囲気をお楽しみください。

何故、今「サスペンスドラマをやってみよう」と思われたのですか?
石井P 「テレビドラマを作って55年になりますが、これまでやったことがなくて、1年くらい前から「サスペンスをやってみたい」と考えるようになりました。近頃さまざまなところでサスペンスドラマが放送されていますが、見ていて「いろいろなサスペンスがある、わたしは違うサスペンスを作ってみよう」と思って取り組んだのがこの作品です。
昨年、4月に原作の佐野洋さんが亡くなられて、ちょうど一周忌を迎えたあとにこのドラマを放送したいと思っていました。すごくお世話になった方なので、何らかの形を残したかったんです。
4人の登場人物だけでいろいろなことが起こります。出演者の皆さんが盛り上げてくださいました。わたしも監督も台本について、ものすごく練り込みました。5回くらい書き直しをしてもらって、脚本の方から「鬼!」と言われました(笑)。」
その石井ふく子さんプロデュースのサスペンスに出演された感想を聞かせてください。
一路さん 「石井先生がサスペンスドラマを作られるというのがすごく不思議でした。「血は絶対に出ませんから」とおっしゃっていて、本当にその通りですし、人間と人間のふれあいが引き出されるお話でした。こんな素敵なサスペンスに出演させていただいて本当に幸せです。」
高島さん 「先日、完成したものを皆さんより先に拝見しましたけれど、結末がわかっているはずなのに「この先、どうなるんだろう?」と楽しみに見ていました。期待通りの出来上がりで、サスペンスなのに心があたたまるドラマでした。」
人が死なないサスペンス」ということですが、見どころを教えてください。
石井P 「なんでもない主婦の目線ですが、人の出会いがどうなっていくのか、という心理サスペンスですね。これ以上話してしまうと、ネタばれになってしまいますので(笑)。」
一路さん 「これまで石井先生の作品には何度か出させていただいていますが、人に対する思いやりとかは、どの作品も本当に石井先生ご自身を反映していると思いますね。演じていて、相手の役者さんのセリフが「これってウソなの?本心なの?」とわからなくなることもありましたが、ゆきさん自身はどこまでも人を信じる人なので、そんなゆきの役作りが楽しかったです。」
高島さん 「わたしは2時間ドラマを多くやらせていただいていますけれど、謎解きをしていく様子などはスカッとして大好きなんです。でもこの作品は、そういうのとは違います。隣に住んでいる人が何をしている人なのかご存知ですか?今まで気にも留めていなかったのに、という普通の生活の中でありえそうな事件です!ですからなるべくリアルに演じることを心がけました。」

石井作品の魅力はどんなところですか?
高島さん 「実はわたしは、石井先生のドラマへの出演はそんなに多くないんです。演じるときはどんな作品でも全力で取り組んでいますが、出来上がったものを見て、その独特の世界に「本当に石井先生の作品に出ているんだ」と感動しました。」
石井P 「いいのよ、本当に思ったことをハッキリ言って。」
高島さん 「心から思ったままを言っています!」
一路さん 「先生の作品は、音楽もとても素敵ですよね。今回、オルゴールが出てきますから、そこにドラマの音楽がどう合わさるんだろう?と思っていたら、何と尺八で…驚きましたけれど、とても合っていますよね!」
高島さん 「『このあと、何が起こってくるんだろう?』というわくわく感を感じましたね。」
セットでの撮影が大半でしたが、感想を聞かせてください。
石井P 「ロケのほうが絶対に楽なんですけれど、きちんとリハーサルをして芝居に臨んでいただくためにあえてセットを組みました。心理ドラマですので、登場人物がそこでどういう生活しているかをきちんと踏まえて演じていただきたかったんです。」
高島さん 「とても豪華なセットで、役者としてこんな立派なセットを建てていただけるというのは純粋に嬉しいです。細切れにならずに長いシーンを撮影するので、緊張もありましたが新鮮でやりがいがありました。」
一路さん 「わたしはふだん、舞台が多いので「この撮影のやりかたは異例だよ」と言われるのですが、わたしからすれば普段の状態に近くてやりやすかったです。でもまさか、スタジオの中に雨が降るとは思いませんでしたね(笑)。」
高島さん 「しかも、結構どしゃぶりで(笑)。」

ご覧になる皆さまへメッセージをお願いします。
石井P 人生には『まさかの坂』があります。日常こそサスペンスということを見てください。」
一路さん 「『人を信じてみようと思った』というセリフがあって、それが心に残っています。まっすぐで人を疑わない、ゆきさんの優しい気持ちが物語の核になっていますが、さちさん目線、ゆきさん目線で感じ方も違ってきますし、楽しんでいただければ嬉しいです。」
高島さん 「さちは、自分の育った環境や置かれている状況から、人を信じられないところもある人だと思います。でも、ゆきと出会うことでその鎧がはがれていく、そういうところに大きな事件が起こります。さちの変化を楽しみつつ、サスペンスの事件については純粋に驚いていただきたいですね。」