インタビュー 松嶋菜々子さん

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― 天野希代の生き方

希代が看護婦になろうと思った原点は、母親が病気になったときに助けてくれた看護婦さんに憧れて「私も人の命を救いたい」と思った志から。そして、従軍看護婦になるという決意を持ったことは生きた時代背景がとても影響していると思います。看護婦になり、そして赤十字の精神を貫いて、戦地で傷ついた兵士たちを分け隔てなく救い、自分たちに出来ることならば、なんでもやりますという姿勢で看護婦をやってきた女性です。
希代の生き方というよりも、彼女の意思そのものに共感することが出来ました。

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― 演じるうえで大切にした点

子どもと生き別れになってしまうことが、どれほどまでに辛いことなのか想像はできます。それでも、このドラマの希代には想像以上の苦しみが待っていました…。
家族が離れてしまう…そこをどれだけリアリティと実感を持って、気持ちを込めて演じられるかというところを大切にしました。

― 従軍看護婦を演じて驚いたこと

女性にも赤紙があったのだという驚きはもちろん、女性で唯一赤紙を受け取ったのは従軍看護婦の方たちで、何万人もの女性が戦地へ向かわれたそうです。赤十字の理念では敵味方関係なく、傷ついた人を救護することを教わっていますが、戦地では、そうなっていないし、それがむしろ当たり前というのが衝撃でした。同じ日本人の上官の命令とはいえ…「話と違うじゃない!」というのは、まさにこういうことですよね。志を持って戦地へ行った看護婦がまったく違う理念で仕事をさせられていることには本当に驚きました。

― 撮影現場の感想

福澤監督とは、そんなに長い間ご一緒していなかった?と思うくらい、私の中で印象に残っている監督でした。会っていなかった間も作品は拝見していましたし、今回、ご一緒できたことで周りの皆さんに17年ぶりだよと言われて「ああ、17年もなんだ」と気付いたくらいです。
以前、お仕事した当時の福澤監督は、いつもカット割を真剣に考えられていて無口でしたからお話した記憶がほとんどなく、演技指導をされたこともなかったように思います。
今回は、すごく話しかけてくださったので会話も多く、時間がとてもかかったシーンの撮影後などにはわざわざ現場まで声をかけに来てくださったりもしました。

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― 中国での長期ロケ

ロケは何よりも安全が第一なので撮影が簡単ではないのですが、日本国内での撮影は、意外といろいろと制限があるのです。それが外国での撮影となると、ルールや基準がまったく変わりました。中国ロケでは、すごくリアリティのある映像がたくさん撮れたと思っています。
特に鉄道のシーン。電車のすぐ脇を並走して追いかけていますが、日本では撮影許可がおりないので、なかなか出来ないのです。さらに現地では、たくさんの中国人スタッフの皆さんがすごく協力的に支えてくださいました。ここですべてあげきれないほど、サポートして下さったことが本当にたくさんあります。

― 大変だったシーンは?

肉体的に大変だったところが多かったですね。
例えば河原のシーンでは、足場の悪い水の中で全力疾走するのを10本撮らなければいけなかったので、後半になってくるとすごく「ぜぇぜぇ」言って息が上がってしまいました(苦笑)。
撮影以外ですと、中国ロケでの移動時間がとにかく長かったです。車で2時間半の移動は当たり前でした。食生活も違うので、長期で滞在していると、どうしてもあっさりとした食事…例えばおそうめんとかお蕎麦が食べたくなりましたね。監督は納豆が食べたいとおっしゃっていました。
そして、スタッフの皆さんが個性的でおもしろい方ばかりなので、飽きない現場でした。長期滞在中のちょっとした辛いことも笑い話に出来るような環境だったので、大変でも楽しかったです。本当に肉体的に大変だったと思ったのは、河原で走ったシーンだけで、あとは覚悟していた範囲内でした。

― 実際に中国でおそうめんを振舞ったとお聞きしました

(菜々子さんが中国でそうめんを振舞ってくださったんですよ。麺の茹で方がとても難しいのに、あの料理にうるさい福澤監督ですらも“茹で方完璧!”と言っていたほどだったんですbyプロデューサー)
スタッフの方が麺をしめるための氷水を用意してくださったんです。その手間も大変だったと思うんですけど、「みなさんに美味しい素麺を食べてもらいたい」という気持ちでスタッフと一緒に準備や配膳をして、いい思い出になりました。

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― 国内ロケでの思い出は?

今回は、作品の時代背景の雰囲気にあう古い建物をお借りして撮影をすることが多く、本物の防空壕でも撮影をしました。ゼロ戦の博物館では、当時の人々の日記も読ませていただいたのですが、とても高い志を貫いている方々がたくさんいらっしゃいました。ですが、その根底には“戦争”があって、国に命を捧げることが大前提なので、彼らの真摯な志が、“戦争”の上になりたっているのかと思うと、とても苦しくなりました。

― 共演者の方々の印象

本当に素敵な共演者の方々とご一緒できて嬉しかったです。自分も含め、集中して役柄にはいっていけるような素晴らしい環境でした。
今回、この作品をつくるにあたって特別だと感じたのは、福澤監督を中心にキャストが集っているなと感じたこと。みんなが監督を信頼して作品に参加されていますし、監督は役者さんたちが持っている、もともとのキャラクターを含めて現場をつくりあげてくださいました。
私の夫役だった西島秀俊さんとは、以前、遠〜い昔にお仕事でご一緒したことがあって(笑)、きっと忘れていらっしゃるだろうと思っていたんですが、覚えていてくださったので嬉しかったです。
鶴瓶師匠は、「おもしろい人ですよ〜」という福澤監督からの前フリがあったので、共演をとても楽しみにしていましたし、監督の予想通り現場を盛り上げてくださいました。師匠が真剣な表情で話されるセリフの一言一言にはグっときますし、自然と胸にスっとはいっていきました。
山﨑努さんは私の祖父役を演じてくださいましたが、孫の希代をいつも遠くで見守っているおじいちゃんという役柄そのまま、可愛がってくださいした。
あらためて、すごく素晴らしいキャストの皆さまに恵まれたことを感謝しています。

― 視聴者へメッセージ

以前、終戦記念のドラマに出させていただいたのですが、そのときから10年経が経ち、私自身も出産や子育てを経験して状況が変化してきたことで、社会を冷静に見られるようになった自分がいました。以前とは演じるときの思いがまた違っていますし、今、終戦70年記念の作品に出演させていただくことは、とても意義のあることだと思っています。
そして当時の戦争のことをもっと広く伝えていけたらと考えるようになりました。これからも戦後の節目に、私にお手伝いが出来ることがあれば、やらせていただきたいなと思っております。
このREDCROSSでは、戦時下という特殊な状況での家族愛が描かれています。厳しい環境を必死に生きている家族の絆や国境をこえた友情、二度と戦争を繰り返してはいけないという思いを込めました。
8月1日、2日、2夜連続のスペシャルドラマです。是非ご覧ください。


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