インタビュー

長山藍子さん (野田弥生)

岡倉家5人姉妹の長女・弥生さん。家庭の主婦であり、母親であり、生きがいを求める女性であり…そんな弥生さんを演じる長山藍子さんに、女性、家族、作品への想いについて伺いました。

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今回のシリーズは、第1シリーズから数えて20年ですが、ご感想をお願いします。

今回のシリーズの1話は、「いつの間に」というセリフから始まりました。
人はそうやって「いつの間にか」年を重ねていくんですね。わたし自身も今、実感しています(笑)。人生って、長いようで短い、短いようでとても長く奥深いものです。それをドラマという形で20年間も演じてきたということも凄いことですね。
本当にさまざまなことが起こるドラマですが、公私共に仲良くしていただいたお母さんの節子さん役の山岡久乃さんが亡くなったことは、本当に悲しい出来事でした。

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「弥生さん」という女性を演じていて、いかがでしょうか。

弥生さんは5人姉妹の長女で、それぞれが問題を抱えていたり、子ども、だんなさんも波乱の人生を送っていて、台本をいただく度「こんな人生の展開が起こるんだ」と驚かされます。弥生は長女ですから、まず妹たちのことを考えています。わたし自身も長女で、弥生と同じように考えるところもありますね。でも、実生活はもちろん違うんですよ。ドラマの中でお義母さんのお世話をしていたときは「なんて優しい人なんでしょう」と褒めていただいたり、子どもたちのことで問題があるときは「あなたの教育方針はいけないと思います!」などと、視聴者の方たちにプライベートの席で怒られてしまうこともありました(笑)。でも見ている皆さんに、まるで本物のようなイメージを持っていただけるというのは役者冥利に尽きると言えますね。

出演者の皆さんとは、どのようなお付き合いをされてらっしゃるんですか?

実はプライベートでは、出演者の皆さんとお会いすることはあまりないんです。
何と言っても、それぞれ長いセリフを覚えなければいけませんからね(笑)。自分のセリフが少ない回でも、ほかの方は大変だと分かっていますから、お互いに気遣っているんです。
夫・良役の前田吟さんは、俳優座の後輩にあたるんですけれど、年を重ねてどんどん素敵な俳優さんになっていますよね。ずっと一緒にやっていますから、改めて「どんな存在か」と考えたりしていません(笑)。でもきっと、撮影が全部終わった後に、いろいろと思うことが出てくるんでしょうね。

「夫婦」「家族」とは、どういうものだと考えられますか?

かけがえのないものです。もともと夫婦というのは他人同士ですから、努力が必要になってきます。お互いを許しあい、がまんもして、思いやりを持つことが大切なのではないでしょうか。その二人が子どもを育てて、夫婦でいる、そして家族になる苦労は、現実には大変なことだと思います。わたしには子どもはいませんが、教育、家族、姑…本当に「母親」という存在を尊敬します。今は変わってきたかもしれませんが、父親は外で働いて、母親は家を守ってきました。昔のほうが、それぞれの役割がはっきりしていたと思いますね。子どもを直接育てるのは母親です。母親が家族の要で、いわば「家庭」という会社を運営しているんです。わたしは経験していないので、余計に母親の存在を大切に思いますね。

今回のシリーズで、弥生さんはどうなっていくと思いますか?

弥生さんは看護師をしていたり、お姑さんのお世話をしたことでも分かりますが、とても気持ちの優しい人です。今は専業主婦ですが、「人の役に立ちたい」と思っていて、家に入っているだけでなく、生きがいを得たいんでしょう。
子育てがひと段落すると、何かをしたいという気持ちはとても分かりますし、弥生は正直でひたむきな人だと思います。
日常の生活の中でそういう満足感をどう取り入れるか、家族の中でまた葛藤があるんだろうな、と思っていますがどうなるんでしょうね(笑)。

ご覧いただいている皆さまにメッセージをお願いします。

弥生を演じながら、悲しいことも嬉しいことも、一人の人物として橋田先生のあの膨大なセリフと共に考えています。わたしとしては、演じながら、お説教したいときもありますが、1年終わったときには、さまざまな出来事を乗り越えて少し成長した弥生さんを褒めてあげたいと、いつも思います。
このドラマは人生における一つの教則本です。若い人が見ても、お年を召した方がご覧になっても、いろんな想いを感じられます。実際のご自分の世代だけでなく、ほかの世代についても「なるほど」と思えるはずです。
この先、岡倉家の5人の娘たちがどうなるのか分かりませんけれど、演じている私たちは、橋田先生の書かれる「作品」という船に乗って旅をしているようなものなんです。実生活は「人生」という船に乗っていますが、その船は自分の責任で舵をとれますよね。でもこの「橋田丸」は、橋田先生の舵にゆだねていて、先生の中で帰る港が決まっていらっしゃいますから、安心して旅ができます。その船の中で、弥生さん、妹たちもそれぞれの役割を懸命に演じていくだけです。
今回のシリーズも、野田家にもいろいろなことが起こります。本当にすごいことが起こって…実際に起こりえる話だと思いますから、この先もどうか楽しみに見ていただきたいと願っています。