インタビュー

脚本・橋田壽賀子先生、石井ふく子プロデューサー

1年半ぶりに帰ってくる「渡る世間は鬼ばかり」。今回の見どころ、長年に渡るドラマ作りなどについて脚本・橋田壽賀子さん、石井ふく子プロデューサーにお話しを伺いました。

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今回のスペシャルについて聞かせてください。

石井:一年半ぶりに皆さんにお楽しみいただける作品を橋田先生に書いていただきました。一年半もたつと、子どもだった子がすごく大きくなっていてびっくりしています。 5姉妹はじめ、幸楽、おかくら、おなじみの登場人物たちの生活を書いていただいていますが、今までと違った形のお話しで、脚本を読むだけでも面白かったです。
橋田:前回のスペシャルを書いて、90歳になったら1字も字を書きたくないと思っていたんです。それで100日間、船で旅行をしたり家計簿も日記も書かない、何もしないで遊んでいたのは初めてです。もう「鬼」は書かないかな、と思っていたのに、書いてみたらやっぱり時代の問題が見えてきて、5人を通して社会が持っている問題をドラマで描けるというチャンスをいただいたんだ、この作品があって良かったな、と改めて思いましたね(笑)。

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今回は五月さんが姉妹たちの家を訪ねていきますが、テーマを教えてください。

橋田:年寄りはいつか一人になるんです。私は若い頃からずっと孤独で、仕事をしていないと人と会わない、これが希望だったんですが、実際にそうなったらどうするだろう、何をするだろうと考えたんです。孤独を淋しいと思ったことはないんですが、淋しい人もいるかも知れません。そういう人は私みたいになりなさい!気楽で楽しいですよ。
五月は何も出来ない子なので、五月を通して一人になった時に自分に何が出来るのか考えて欲しいです。生きがいを見つける、それが大事なので、みんな一生懸命探しています。見つけたかどうかは、ドラマを見ていただきたいです!
石井:私も橋田さんも、二人とも一人ですけれど、だからこそ客観的に家族を見られるのかも知れませんね。血の繋がった家族さえいろんな問題を抱えていますが、その一因は機械化ではないかと思うんです。人と人が向き合っていない、だけどこのドラマは人と向き合っています。だからこそいろんな問題が起こってくるんです。
今回も家族の話なんですけど、五月が一人になって姉妹たちを訪ねながら「いらない」と言われて生きがいを探しています。これまでとは違った「幸楽」の状況を見ていただけます。
橋田:娘の時代になろうよ、と勇は言うんです。もう時代は変わって、自分たちのことだけを考えればいいんだけど、それがいつ来るかはみんな違います。五月たちは1か月だけですし、「世代交代もあるんだよ」という話です。

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ドラマが不調だと言われる昨今、お二人はどう感じていらっしゃいますか?

橋田:今回の締切に追われない日々は、ひたすらドラマの再放送を見ていました。懐かしい人がたくさん出ていますし、本当に昔のドラマは面白いですね。忘れていたドラマの原点を思い出させてもらいました。もう一度そこに戻ってみてもいいと思いますね。最近のドラマは何をやって何を言わんとしているのか分からないものが多くて「私たち、古くないんだ!」と思います。もう私の脚本は通用しないと思っていたんですが、どこに行っても皆さんに「鬼はいつやるの」と聞かれて、待っていてくれる人がいるんだと思って、そういう人たちのために書かせていただきました。
視聴率とか数字ばかり気にしている風潮がこういう結果になったのでは、と作り手としては寂しいですね。時代が変わりますから、本来私たちは去る者なんですよ。あ、でも石井さんはまだまだですよ!
石井:いろんな方に出会って、橋田さんともケンカはしますが50年のお付き合いが出来るというのは宝物です。ドラマも難しいことではなく何でもないものを見せたいと考えていますが、家族の中にこそサスペンスがあるんです。今も2歳くらいの子どもがゲームをしているのを見てびっくりします。その間はおとなしくしているから親が楽なんだそうですが、これをやってはダメ、というしつけをしていないんです。ドラマの中では、会話のキャッチボールを出来るような家族を描きたいと思っています。

お二人は半世紀を越えてドラマを作り続けていらっしゃいますが、「渡る世間は鬼ばかり」も四半世紀を越えましたね。

石井:「渡る世間は鬼ばかり」は26年やっています。私がずっとやらせていただいていた東芝日曜劇場が単発から1年間のドラマをやりたい、と言われて橋田さんと始めたドラマがこんなに続くとは思っていませんでした。
橋田:本当に思いもしなかったわね。二人あわせてもう180歳を超えているんですから!
石井:一年やって一年休んでここまで来ましたが、えなりかずきなんて5歳からもう31歳ですよ。日向子も少女から女の子へと変わりましたね。そういうところで時の流れを感じますし、その時その時の社会状況、家族の状況が変わるという作品をやってこれたと思っています。

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お二人にとって、今回のテーマである「生きがい」を教えてください。

橋田:石井さんはお仕事です!私はもういいです(笑)。旅は好きですけれど、今は家でボンヤリしているのが好きです。永六輔さんや一流の方がお亡くなりになりますが、私は二流人生でしたし、一流になる気はないので静かに死んでいきたいな、そんなことを考えています。
石井:目的があって生活するのとないのでは全然違います。私はテレビ、舞台両方やらせていただいて、仕事に終わりがないのではという気持ちになっています(笑)。橋田さんも絶対にそう思っているのに反対のことを言うんですよ。いつどうなるか分かりませんから、中途半端はいけません。ちゃんとした仕事をしたいと思っています。

2016年二夜連続スペシャルは9月18日(日)19日(月)放送です。
どうぞご期待ください!