インタビュー

石井ふく子プロデューサー

ついに最終回まであと10回。皆さまに愛されてきた「渡る世間は鬼ばかり」を送り出してきた石井プロデューサーに、これまでのこと、そしてラストに向けてお話を伺いました。

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改めて、「渡る世間は鬼ばかり」21年間を振り返って、いかがでしたか?

80年代後半、トレンディドラマ全盛時代にTBS創立40周年ドラマを作ることになったんです。わたしと橋田さんには流行りのドラマは作れませんから、「じゃあ家族ものを作ろう。受け入れてもらえなかったら、それでテレビをやめよう」という覚悟で取り組んだのが、この『渡る世間は鬼ばかり』です。始まった頃は1年間のつもりだったのに、おかげさまで21年間続けさせていただきました。わたしも橋田さんも一人っ子で、子どももありません。そんな二人が大家族のドラマを作っているんですから、おかしなものですね(笑)。女の目で、意地悪く作ってきましたが、泉ピン子さんも、そんな二人の意地悪さを代表して活躍してくれました。今は、五月は受けに回っていて、愛が言いたい放題になっています。このドラマは、みんな好き勝手なことを言っていますが、「憎めないキャラクター」ばかりです。それはなんと言っても、キャストの皆さんのおかげです。
このドラマは、今では少なくなりましたが、きちんとリハーサルをして「スタジオドラマの特徴」をきちんと出したいと思っています。これだけの長いシーンは、役者だけでなく、スタッフもしっかりしていないと、とても撮影できるものではないんです。

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時間の流れを思うのはどんな時ですか?

子役の年を聞いて驚きますね。「え、もう20歳を越えたの!?」って…(笑)。4歳で入ってきたえなりくんは、もう26歳です。おもちゃで遊ばせていたのに、変声期をむかえたり、メイク室でヒゲを剃っているのを見て、そんな年になったんだな、と思います。
番組を支えてくださった山岡久乃さんが、第3シリーズで病気のため降板なさいました。第7シリーズでは、赤木春恵さんがアメリカへ行くという設定になり、藤岡琢也さんが残念ながら亡くなられて、次の第8シリーズから宇津井健さんが入ってくださいました。いろいろなことがあって、ついにあと10回です。

あと10話、物語はどうなるんでしょうか?

HPへの書き込みも読ませていただいていますが、皆さん気になっている眞と貴子の今後について、プロデューサーのわたしもどうなるのか分かりません。橋田さんに聞いても「わたしも分からないわ」って言うんです。まるで姑根性で、小さい頃から見ていた眞にお嫁さんが来るのがいやみたいです(笑)。
でも、本当に驚くような展開を用意していて、残りわずかな中、どう結末をつけるのか、恐ろしくもありますが橋田さんから素敵なラブレターがくるといいなと思います。
毎回、大事に書いていらっしゃるのがひしひしと伝わってきます。書きあがったらすぐに見て欲しいから、夜中でも電話がかかってきて、朝一番の電車でご自宅のある熱海に向かいます。今はFAXやメールでやり取りしている方が多いですけれど、わたしは作家に台本をいただきに行く、ということが大事なことだと思っていますし、取りに行くのがひとつの楽しみです。
展開についての細かい話はしませんけれど、解決しておかなければいけないことは話します。今、キミさんがアメリカへ行ったままになっていますが、ここはきちんと決着させないといけないと思っています。赤木春恵さんは先日、舞台からの引退は発表されましたが、まだまだ非常にお元気で、先日出演のお願いに行ったとき『映像のお仕事はやらせていただきたいと思っています。最後まで女優をしたいですし、出演させていただきます。』と、ご覧の皆さんへのメッセージをいただいてきました。

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「渡る世間は鬼ばかり」で伝えたかったことはどんなことですか?

「鬼」というのは、自分の中にいるものです。この作品は多くの方に見ていただいていますが、プロデューサーの仕事というのは、悪いことは自分のせいで、よく出来たときは相手のおかげです。わたしがドラマを作って皆さんに伝えたいこと、それは「ありがとう」という、感謝の気持ちです。

今は「ひらがな」の言葉が消えてきました。「ありがとう」「おはようございます」「ただいま」「いってらっしゃい」…あいさつはみんな、平仮名で書けます。ものが豊かになり、人同士の関係が希薄になって、会話がなくなってしまったんです。今は、実の親子でも会話もなく、あいさつすらない家庭が増えていますが、血の繋がっていない家族があってもいいと思うんです。橋田さんは「血の繋がらない家族」を野田家で描いていこうと、いろんな問題を投げかけています。この家は他人が集まり、仲良く食卓を囲んでいますが、いろんな問題を抱える家族を演じている長山さん、前田吟さんはとても難しいと思います。

わたしは、ドラマの中に必ず家族、兄弟が集まって食事をするシーンを入れています。この「渡る世間は鬼ばかり」だって、娘が5人、それにだんなさん、子ども達…あり得ないと言われるかも知れませんが、そういう繋がりが大切なことなんですよ。

いよいよラスト10回となりましたが、一体どうなっていくんでしょうか?

毎回、原稿をもらってみるまでわからないんです(笑)。各家庭の決着はきちんとつけないといけないと思っていますが、橋田さんがどう決着させるか、そこは任せています。
ご覧になっている皆さんの家族と同じように進んでいきますから、何かひとつでも参考になってくれればいいと思いますね。このドラマの根底にあるのは「あたたかさ」です。どんなに辛く寂しいことがあっても、このドラマで感じる家族の暖かさを心のお土産として受け取ってくださったら、画面を通してお送りしてきた甲斐があります。
出演者、スタッフとも健康だからこそ、健康なドラマが作れます。最後まで元気にまっとうしますので、どうか最後まで楽しんでください。