インタビュー

山崎銀之丞さん(岩田弁護士役)

大井社長の古くからの友人で、大井精機の整理のときも手をつくしてくれたという岩田弁護士。大井元社長の開発の契約、貴子さんへの説得、はたまたどういう心積もりなのかまだ見えない岩田弁護士をどう演じているのか、山崎銀之丞さんに伺いました。

ご出演が決まったときの感想を聞かせてください。

渡鬼というのは、出る番組ではなくて視聴者として、テレビで見ているものだと思っていました。お話をいただいたときはびっくりしましたが、役者として、この伝説の番組に名前を残せた、というのはとても嬉しかったですね。

山崎さんといえば、金八先生の遠藤先生役で視聴者の方にはお馴染みですが。

「渡鬼」も「金八先生」も素晴らしい名作で、こういう番組に顔を出せる、名前を残せるというのは本当に役者冥利につきます。ただ、遠藤先生のキャラクターが強くて、「まじめな顔して何言ってんだ!」と思われてしまわないか心配ですね(笑)。

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撮影現場はいかがですか?

皆さん、自分のするべき仕事と、やるべきことをわかってらっしゃる方たちが、確実にそれをやっているという印象です。長い歴史と腕とが絶妙に絡み合った現場だと思います。これだけ続いている作品ですと、途中からぽーんと入っていくと、どこに身を置こうかと思ってしまいますけれど皆さん驚くくらいに受け入れてくださって、腰がひけることもなくやらせていただきました。
日常でスーツを着ることはまずないんですが、役で着るのは好きなんです。一番「役」と「自分」を切り替えられます。俳優としての作業着ですかね(笑)。

演じていらっしゃる岩田弁護士とはどういう人だとお考えですか?

いまはまだグレーゾーンにいますが、ぼく個人としては私利私欲があっていいんじゃないかと思っています。いい人だけで終わるにはもったいないと言いますか、何かたくらみのようなものもあるほうが、人間ぽいんじゃないでしょうか。本当のところはわかりませんし、どう決着がつくのかも別として、非常に興味があります。演じていながらも「どっちなんだこの人!?」と視聴者の皆さんと同じように見ています。

演じているときはどう表現されているんでしょうか。

どうやろうかとはずっと考えていましたね。何か含みがあるように見えたほうがいいのか、あえて出す必要はないのか。ただ、この岩田という人物が物語を進行していく一つの要素であるところは、きっちり出そうと意識していました。岩田と、大井父娘をとりまく状況を岩田がどうしようと思っているのか、今、この親子がおかれている状況より、少しでも変わっていけるのか見ている方に明確にわかるようにしないといけませんからね。
橋田先生の作品には何本か出演させていただいていますが、本当に見ている人にとても親切で、前回見逃してしまった人でもちゃんと分かります。今回のぼくのセリフは説明の部分が大きくて、こういうのはちょっとしたことでも間違えられないですから、ほかのことを考えている余裕はあまりないです(笑)。とにかく、見てくださっている方に、確実に伝えようということが一番ですね。

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大井家のことをどうご覧になっていますか?

おそらく経済的なことを思うと、岩田が言っていることは合理的に正しいことです。岩田はそれに自分も乗っかろうとしているんだろうと、ぼくは思っているんですけれど(笑)。でも、とても正しいことを理路整然と言っていて、選択肢もすごくわかりやすい提示の仕方で貴子さんにもちかけていますが、貴子さんは必死にその流れに抗っています。彼女が言っているように、やっとつつましやかながら父娘二人で暮らしているんだと察せられる中、経済的なゆとりが出ることで、この暮らしが遮断されてしまうことが、彼女にとっての恐怖なのかもしれません。岩田弁護士に現実的につきつけられることで、抗っている根拠はそこにあるんじゃないのではないでしょうか。

山崎さんにとって「鬼」とは?

人に「鬼だ」ということが卑怯だと思うんです。一つのことでも、思い描くことでいろんな見方がある。そう考えると、自分の中にいつでも「足を引っ張ってやろう」という気持ち、イコール「鬼」が住んでいて、その気持ちが顔を出すか出さないかで踏ん張っているのではないでしょうか。人のせいにしたり、人を押さえつけたりすることは簡単だけれど、実はもっとこわいものが自分の中にある。さぼりたいとか楽をしたいとか、それも一緒だと思います。まだ人生達観していないからわからないですけれど、そんな気がしますね。

ご覧の皆さんにメッセージをお願いします。

ぼくが言うのもおこがましいのですが…このドラマが愛されてきたのは、家族の問題点、幸福論、そういう普遍的なテーマが凝縮されているところです。どこにでもある、誰もが包括している問題だったり、迷いだったり、そういうものを「明日また頑張ろう」という気持ちに繋がる出来事が起こっています。今、この時代不幸なこととかいろいろなことが起こっていますけれど、「いるよねこういう人」と思えるドラマであり続けた凄さを、理屈じゃなく楽しんでいただければと思います。