インタビュー

三田村邦彦さん(高橋亨役)

文子さんの元夫で、夢を追ってハワイでホテルを経営、再婚をし幸せに暮らしていると思っていた亨さん。まさか病気で日本に戻り、文子さんと再会するとは思ってもみなかったと言う三田村さん、亨さんという人はどういう存在なんでしょうか?

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これまでに印象に残っていることはどんなことですか?

亡くなられた山岡久乃さんのセリフのテンポよさ、歯切れのよさがものすごく大好きでした。何度か台本を見ながら、実際に追いかけたことがあるんですけれど、普通に読んでいても、ものすごく早いんです。あれだけのスピードで早口に言っているように思わせない方はなかなかいらっしゃらないと思います。長いセリフになると、失敗しないで正確に言わなければいけなくて、大事な感情を入れられる余裕までなくなってしまうんです。それを山岡さんは実に丁寧に演じられていました。藤岡さんはまた全く違うスタイルの俳優さんで、今ご一緒している皆さんもそうですし、それぞれのスタイルを見られたというのはすごく勉強になりましたし、面白いです。

三田村さんのスタイルは?

変えようと思っていろいろやるんですけれど、変えてしまうと出来ないんです。台本にいろいろ書き込む方もいらっしゃいますけれども、ぼくはそういうことも一切書かないし、カラーペンでマークをしたりもしないんです。そういうことをすると逆に覚えられなくなってしまうので、普通の人が見ると「この人勉強してきてないの?」と言うくらい、キレイな台本です。俳優になって30数年たちますけれど、それは変わらないですね。

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20年演じてこられた亨さんとは、どんな人ですか?

意外とまじめな人物で、何事も一生懸命やる人だと捉えています。初期の頃は母親と嫁の間に立って、息子という立場で母をかばい、旦那の立場で妻をかばう。普通のドラマだと結論が出ていて、やっていてすっきりするけれど、これは現実的な問題で、しかも結論が出ないことですから、より身近な感じで演じていました。ドラマなんだけれど、もっと現実的な本当の家庭のようで、撮影スタジオに来ても「またあの重い家庭に戻らなければいけないのか」という感覚で、足が向きづらかったです。子どもたちも同時進行で成長していて、望が初めて登場したとき4歳でしたが、現実にも高校、大学と受験をするとき、うちの本当の子どもよりも心配したかも知れないです(笑)。それがいまや25,6歳で、年齢的にもたぶんもうすぐ結婚するんじゃないかと思うんですけれど、どうなるんでしょうね(笑)。そうやって共に時間を過ごしてきた人たちに対して、ドラマの共演者以上の気持ちになるから本当に不思議です。それだけ亨という役が、より近いものになってきているんです。
今回、病気をして過去を振り返っていますが、「今度はハワイで亨も幸せになるのかな」なんて思っていたら、とんでもないことになっていて…ドラマでなくて現実的に考えてしまって、「あのとき、家族のことまで見抜けなかった俺ってばかだよね、学習してないな」って、役の中で反省しているのか、自分自身で反省しているのかわからなくなります。文子の会社を手伝わせてもらっていますが、本当は独立しなければいけないって思うんだけど、やっぱりすがらなきゃいけない。亨も一生懸命生きているんでしょうけれど、ところどころに落とし穴がいっぱいあって、今回もそういう感じです。本当の人生でも、自分で計算してもうまくいくはずはありませんが、ドラマなのにどういう終わりになるかなんて分からない、という作品はなかなかありません。本当の人生と一緒で面白いですよね。

文子さんとも、今後どうなっていくんでしょう?

どうなるんでしょう。文子さんの言葉を聞いていると「こんな素晴らしい女房と別れるなんてバカだよな。」って、相当惚れ直してますよ。ぼくはそういうつもりで惚れ直しています(笑)。ぼくが亨を客観的に見たときに、自分の仕事がしたいという文子の人生を理解できなかった亨を「理解してあげたらいいのに」と思いました。でもそうは言っても人はわがままなので、もしもまた一緒になったとしても、家に帰ったらご飯も出来てなくて「お前は社長で俺は一社員だよ」みたいなやっかみが出てくるのが人間の性なんでしょう(笑)。

でも、最初の頃、同じ会社で文子さんのほうが出世してたんですよね。

そうなんです!これ、女房が会社辞めて家庭に入るより、俺が会社辞めて家に入ったほうが良くない?って自分で言ってました。どう見たって才能がある人なんですから。そういう方向性も面白かったかなって思います(笑)。

ご覧の皆さまにメッセージをお願いします。

面白いところは笑って、悲しいところは泣いてください。それとこの作品の大テーマ「みんな、相手が言ってることでいやな人だなと思うけれど、そう思うあなたが鏡なんですよ、あなたもそういうことを言っているんです。『鬼ばかり』というのは、相手のことを言っているんじゃない、自分のことを言っているんです。あなた(自分)が一番鬼なんですよ、ということを言いたいドラマなんです」と石井プロデューサーに言われて、なるほどな、と思いました。それからは「なんでこんなことするの、あ、でも自分もそうなんだ」と反省して、発言に気をつけるようにしています。たくさんのせりふのやりとりの中で、そういう見方もしているドラマだと思っていただければ、よりありがたいと思います。