インタビュー

岡本信人さん(田島周平役)

「幸楽」に欠かせない従業員・周平さん。ひたすら「幸楽」のために働き続ける周平さんを、これまた変わらない情熱で演じてこられた岡本さんの「幸楽」への想いとは?

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これまでで、印象に残っているエピソードなどありましたら教えてください。

ぼくは第2シリーズからの出演ですが、シリーズ5で聖子さんと結婚するきっかけになる事件がありました。聖子さんが通帳を持ち逃げしてしまい、戻ってきたときに周平の過去を語るシーンがあったんです。結婚の約束をしていて、駆け落ちまでしたのに結局捨ててしまった女性がいる、という周平の過去が明かされて…それまで幸楽一筋だと思っていた周平が大変な過去を持っていて、びっくりしました。

聖子さんとの夫婦は、どんなものでしょうか?

周平は、おかみさん、だんなに尽くし、幸楽に骨を埋めるつもりで働いている、一途な男です。幸楽に惚れこんで、育ててもらって生活させてもらっているのだから、恩返しをしたいと考えています。
聖子はお金にこだわっていて、そんな周平を「あほらしい」と思って見ているんでしょう。周平は「お金じゃない、気持ちだよ」と言って相反する、そんな夫婦です。いまどき「お金じゃない」という周平は珍しくて、聖子さんの言っていることのほうが普通なんだと思いますよ。でも、つかみ合いの喧嘩などがあったりして、割と派手な夫婦ですね(笑)。考え方は違うし喧嘩もするのに結局一緒にいるということは、画面には見えない、いいところがあるからでしょう、ぼくはそう思って夫婦役を演じています。

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改めて、周平さんをどう演じていらっしゃいますか?

周平は、幸楽の番頭のようなもので、変わってはいけないんです。老舗の味を変えない、きっちりと守っている従業員だという位置づけを自分ではしています。
だんな達が話しているバックでの動きが邪魔にならないように、見ている方に「活気があるな」と思っていただけるような調理場にしたいと思ってやっています。
餃子作りに関しては自己流です。形よりスピードを重視していますね。
従業員といっても、もう20年近くいるし、だんなも使いづらいんじゃないでしょうか。誠さんに代替わりしますけれど、番頭のほうが年上のベテランだと、やりにくいでしょうね。前回のシリーズのラストでは、弟子入りした誠さんを指導する立場でしたけれど、今回は若旦那って呼ぶのかどうか、楽しみですね(笑)。

家族とは、どんな存在だと思いますか?

家族は「当たり前」と思い込んでいることが多いです。愛情があって当たり前、甘えて当たり前、でも立場が変わると相手の立場になれずにぶつかってしまう。それぞれ譲り合えないことがあるから、ぶつかって当たり前ですよね。このドラマではキミさん、五月さん、久子さんたち、それぞれの立場から見ると、それぞれのいい分があります。そこでお互い「言い分がある」ということだけは認めあわなきゃいけない。分かって当たり前、と思っていると、少しずつずれを生じてきます。夫婦でも「わかってるだろ」、ではなく、好きなら好き、ありがとうならありがとう、ときちっと言わないと伝わらないんです。
ぼくも実生活では、言葉で言うように意識しています。うちの家族はうるさいくらいです(笑)。
「当たり前」は依存に繋がります。橋田先生のテーマのひとつに「自立」があると思いますので、お互いの立場をきちんとふまえている家族を見て、そういうところを感じ取ってほしいですね。

ご覧の皆さまにメッセージをお願いします。

ぼくにとって「渡鬼」はもう一つの家族です。俳優として帰ってこられる場所です。これで終わるという実感はないんですが、終わった後は寂しいんでしょうね。
このドラマの場合、終わるといっても日常生活を切り取っていますから、皆さんが見ていらっしゃる「渡鬼」は、自分たちのお隣さんのような、生活が続いているんだという感じで見てください。
ドラマは終わっても、小島家、幸楽は近所にある、それはずっと変わらないんだ、ということを思い出してくれれば嬉しいです。