インタビュー

中田喜子さん(岡倉文子役)

しっかり者で、現在は旅行会社を切り盛りしている岡倉家の三女・文子さん。中田喜子さんは、文子さんをどのように演じてきたのか、お話を伺いました。

イメージ
これまでで印象に残っているエピソードを教えてください。

文子さんは2回結婚しているんです。それも同じ人と!それが一番の衝撃でしたね。
それと、「渡鬼」でキスをしたのは、高橋家だけなんです。台本にも書かれていないのに!三田村さんと、どんな打合せをしていたんでしょうね(笑)。

スタートしたときはトレンディドラマ全盛で、高橋家がその雰囲気を出していましたよね。

文子が一番髪型や服装が変わったかも知れませんね。でも、イメージは変わらないように気をつけています。第1シリーズのときの衣装を、今でも持っているのですが、さすがにもう着られません(笑)。でも、自然に年を重ねていければいいと思っています。
今回、衣装のリクエストを出させてもらいました。いつ外出しても、すぐに商談が出来るような服装にしていただいています。一人になって仕事にかけている、働く女性の強い気持ちを表現したかったんです。

改めて「文子さん」という女性をどうお考えになりますか?

素晴らしいと思うのは、どんなことでも、あるレベルまで上げていけるところです。文子さんのパワー、根性、着眼点…橋田先生は本当にスーパーウーマンに書いてくださっています。
何事にも一直線な人で、子どもの受験、家だけでは物足りなくて仕事をしたくなる人です。欠点は、仕事をしだすと家庭を顧みないことです(笑)。女性の社会進出と平行していましたね。社会に出ると、今でも男社会な部分が強いと思います。そこで頑張ってきたことは、本当にすごいことです。今はご主人も育児に参加する時代になってきましたけれど、亨さんも自分のしたいことがあって、衝突してしまったんでしょうね。

今、子どもを怒れない親が多い時代に、よく望をたたいていました。なぜたたくんだろう、とわたしなりに考えました。わたしは子どもがいないので、掴めない部分もあったと思いますが「子どもを叱れない親」が社会現象になっていたり、外に出たがっている主婦が多いということは意識して演じていました。
文子は、子どもときちんと向き合う姿勢を持っていたんです。だから望が親離れしたときも納得できたんだと思います。

イメージ
文子さんに似ているな、と思うところはありますか?

わたしも女ばかり、5人姉妹の末っ子です。次女、三女は本当にしっかりしていて、末っ子には、どこか甘えん坊なところがありますよね。ですから、文子の三女タイプではないと思っていたのに、仕事を優先させたりするところは似ているな、と思います。でも、文子は本当にしっかりしているので、つめの垢を煎じて飲みたいくらいです(笑)。日々、好奇心を強く持とうと努力して、自分自身を刺激しながら、なんとか文子さんに追いつこうと頑張っています。

中田さんにとって、「渡る世間は鬼ばかり」というドラマ、そして「文子さん」という役はどんな存在ですか?

20年間、文子という役があったおかげで、いろいろな役に挑戦させていただきました。一年後にまた「文子に戻れる」という安心感があったからこそ、思い切り冒険できて、女優として、幅が広がったと感謝しています。

実家の5人姉妹で集まって話すときには年齢的にも、終の棲家のことや、定年、年金などの話になるんですが、「あれ?どこかで聞いた話?」と思うことがよくあります。まさにドラマの中で、どこかの家族が直面している話題なんですね。橋田先生のセリフは本当に生きています。「本当にお正月にこんな話していました!」って、テープにとって聞かせたいくらい(笑)。どうしてこんなに、女性の心理をおわかりになるんでしょうね。
橋田先生の作品には、必ず好きなセリフが出てくるんです。今シリーズでは3話で弥生さんに言った「家族があって、主婦のやってることを感謝してくれる。平凡だけどなかなかめぐり合えない幸せ。」という、このセリフに涙しました。

ご覧の皆さんに、メッセージをお願いします。

岡倉家の姉妹は、つかず離れずで、とてもいい関係です。一人になった文子を気遣ってくれていて、大家族こそちゃんと絆で結ばれていると感じます。この20年、一緒にいたこの5人姉妹は、もう一つのわたしの親戚だと感じています。「渡鬼」が終わっても、それはずっとかわりない、大切な存在です。
旅行社も大きくなっていく中、文子の生活にも一波乱あると聞いています。そのとき、どうやって受け止められる文子なのか、わたし自身もとても楽しみです。20年間皆さまにご覧いただいたことが、わたしたちを育ててくださったと感謝しています。どうぞ最後まで楽しんでご覧ください。