泉 ピン子さん×橋田先生 2s対談

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Q変わって欲しくない家族のかたち

橋田壽賀子さん(※以下、敬称略):最初、私は「なるようになるさ。」ではなく、「子離れしました。」というタイトルにする予定だったのですが、今の社会には子離れしない親がたくさんいるんですよね。大人になった子どもの代わりに愛情を他に向けていく…そういう親がもっと増えればいいかなと。

泉ピン子さん(※以下、敬称略):私たち団塊の世代は、家を子どものために建てたって、子どもはみんな独立して家を出て行きたいのよね。だから今、夫婦2人の家庭はとても多いですよ。

橋田:多いですよね。

:何のために頑張ってきたのか…!と思っちゃいますよね。

橋田:どんな家でも、親とは暮らしたくないという子どもが多いからね。

Q出演者のみなさんのお芝居について…

橋田:俳優さん大変よね〜。しゃべってばかりいるから(笑)。

:だけど、本当にリハーサル(撮影前にお芝居の流れを監督と出演者で打ち合わせをする段階のこと。)やらないで、撮影に入っていくのはすごいですよ!「渡る世間〜」のときは、リハーサルがありましたから、私は今回リハーサルなしで動くことへの怖さがあるのに、みんな平気で動いているのよ!「渡る世間〜」をやっていた人間は驚きますよ。

橋田:「渡る世間〜」はたくさん登場人物がいるから、お芝居を決めておかなきゃまわりの方が困っちゃうでしょ!「なるようになるさ。」は夫婦2人が多いから出来るのよ。
泉ピン子さんが演じているのは、浅野さん演じる綾のお姉さんの邦。
「にしき」という料理屋を継いでいるの。綾はずっと憧れていたのよね、お姉さんのこと。

:知らなかったわ。そのこと。

橋田:「家族もいないし、のん気でいいな〜」と憧れているのよ(笑)。

:とにかく、大悟と綾は絵に描いたようないい夫婦ですね。

橋田:狙ったんですよ!
舘さん演じる大悟はフワっとして、言いたいことをとつとつと話していただければいいの。

:現場は、おもしろくて明るいですよ。…めちゃくちゃ明るいね!あっちゃん(浅野温子さん)も明るい!私がセリフを言っているときに、メガネチェーンをいじる仕草はやめて欲しいけど(笑)!
「お姉ちゃんは暗いから明るい服着なよ〜」とかフランクで、お芝居ではアドリブも多くて…おもしろい!皆が明るいッ!志田未来ちゃんは…真面目だし最年少ということもあり、まだ緊張があるような気がするけれど頑張っているし。

橋田:安田くんもおもしろそうね!

:安田くんも、役柄について深くいろいろなこと考えて来ていますよ。
今回は、とにかく私は「橋田先生の長セリフに囚われてきた23年間なんだったんだ!」と思いますね。そう言うと、たっちゃん(舘ひろしさん)は笑うけれど(笑)。
たっちゃんは、自由を楽しんでやっている感じ。「ココは、こうしない?」「コッチこう動かない?」といろいろとアイデアを出してきますし、「こんないい台本ないじゃない。ト書きがない分、自由度が高い」って言ってるの。
ああ、そういう考え方もあるんだなって改めて思いました。

橋田:私は、本を書いたら、台本はお嫁にやった娘だと思っているので、煮ようが焼こうが問題ないです。自由に動いてくださっていいですし、演出家が自由に演出してくだされば…。

:演じる人によって違いますからね。

橋田:舘さんが壊してくださることによって、私が書いたものに違う味が出てくる…これが非常に楽しみです。

:浅野さんはセリフが見事よ!
今、撮影は3話までしているけど、4〜5話のあたりで疲れが出て来るよって言ったら「もうきてるよッ!」って(笑)。
とにかくあっちゃんは明るい!「おねえちゃんさ。どこに住んでるの?」「おねえちゃんさ〜」って撮影現場が楽しいですよ(笑)。舘さんも本当にムードメーカーになっていますね。

橋田:舘さんは、NHKの連続ドラマ小説でホテルのマネージャーを演じていたじゃない。「こんな面があるんだ。あの面が出せればいいな。」と思ってお願いしたんです。

:自分の出番が終わったあと、たっちゃんは自分のディレクターチェアに座って、セットのど真ん中で舞台の観客みたいに見てるのよッ!それで「何考えてるのッ!」て、おもわず言っちゃった(笑)。
でも、ある人がゴルフ場で舘さんを見かけたとき、ゴルフしながらでも台本を見ていたらしいですよ。どこ行くときも台本見て勉強しているみたいなんです。現場では明るく振舞っているけど、ひそかに努力してる方なんですよ。

橋田:ああいう風に見えても熱心で、すごくまじめな方なんですね。

:まじめな方です!

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Q浅野さん演じる綾みたいな女性は…?

橋田:たくさんいますよ!熱海(橋田先生のお住まい)には、ご自宅を改装してやっていらっしゃる方が3人くらい…

:おいしいですか?

橋田:おいしいって評判なんだけど、行く時間がないのよ!
舘さん演じる大悟は、夫婦で世界一周に行きたいと思っているけど、浅野さん演じる奥さんは「そんなの自分は行きたくない!自分はレストランをやりたい!」って言う。
普通、子育てから解放されて、ダンナに言われたら世界一周に行きたいわよね。
実は、私も綾と一緒で、昔は仕事がなくなったら、ケーキ屋さんがやりたかったの。
主婦をしていると、人と会うことがあまりないじゃないですか。お店をやれば色々な人と会える、世界が広がる…そういう世界の広がりを綾は求めていたんだと思います。

:長島家というのはすごく大きいお家。男の子が3人いますし、それがみんな出て行って夫婦2人になったら、リビングも使わないだろうし、夫は帰ってきたらお風呂入って寝室行っちゃうし、しかもほとんど外食でしょ?待っているだけの女房になっちゃうものね。

橋田:だからこそ、何かやりたかったんでしょうね。子どもに何十年も食べさせてきたし…

:だからと言って、そんなこと(レストラン)やることはないだろうと思いますけれど…。
「料理作って売ればいいってもんじゃないんだから。」と、ドラマの中でも邦は言うんだけど…綾はどうしてもやってみたいんでしょうね…。

橋田:やっぱり生きがいでしょうか。
私もそうですけど、ケーキが焼けたら誰かにあげたいな…と思いますもの。

:私自身も、主人が仕事していて家に1人でいるときは、食事は冷蔵庫にあるもの何でもいいものね。やはり主人が帰ってくるから何か作らなきゃいけないわけで、一人だったら何でもいいんですよ。主婦は食べてもらう張り合いがあるから、いいんだと思いますよ。

橋田:誰かに喜んでもらえること。ドラマを書いていても、1人でも「見てますよ!」と言ってくださる方がいるから、書きたいなと思うし、書けるんです。

:そうね。私も夫に、「最近あなた、“ありがとう”とか、“おいしい”とか、言わなくなったわね。」って言ったの。今年、銀婚式で夫婦25年目ですけど…言ってはくれないですね〜なかなか…。そしたら、「まずかったら食べない!」って言われたの(笑)。

橋田:私なんて「おいしい?」って一度聞いたことがあるけれど、「黙って食べているからうまいんだッ!」って言われましたよ(笑)。
お客様が少しでも喜んでくださるなら…私もお店をやりたいわね。

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Q最近、シェアハウスが流行っていますが、“他人同士”で暮らすメリットとは、何だと思いますか…?

橋田:実はシェアハウスを題材に書こうと思っていたんですけれど、シェアハウスのドラマがあったので、内容を変えてこの作品を書きました。
シェアハウスが題材だと、誰が芯になるかはわからないですが、家族を題材に書くと芯があります。シェアハウスだと信頼がなかなか生まれるのは大変だと思いますが、信頼が家の中から生まれてくることは出来ます。
芯になるのは、人間を信じることが出来る夫婦にしたいなと思っていて、そこに人間を信じられなくなった人間が集まり、そんな人のお手伝いを夫婦がしていく…。
シェアハウスではないけれど、憩いの家…みたいなところは、あるのかもしれません。

:駆け込み寺みたいですね。

橋田:そうですね。
私が「渡る世間は鬼ばかり」で書きたかったのは、弥生さん(長山藍子さん演じる岡倉家長女)のところで他人の子どもを預かったように、他人同士が助け合っていくこと。震災のあと、他人同士が助け合うことが大事だなと思ってこの「なるようになるさ。」を書きました。また、子離れしたあとの熟年夫婦がどう生きたらいいのか、そういったところも描きたいなと思っています。

Q他人同士が暮らしていくことは、今後多様化していくと思いますか?

橋田:お年寄り同士で暮らすこともありますし、お年寄りがいる隣が幼稚園だったりすることもありますよね。今後は、様々な世代が助け合いながら生きる社会になればいいなと思いますね。それがうまく出来れば…。
いろんな人と助け合っていかないと今の少子化家族の中では高齢者は生きていけないですよ。助け合うことで、様々なかたちの絆が生まれ、血の濃さとは違う心の強さのつながりがだせたらと思っています。あくまでも理想ですが…。 今回の作品は、「みなさん少しでも理想に近づいてね…」と、いうメッセージを込めたドラマになっています。

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