インタビュー

[第四回]北條サン 役 / 伊藤 蘭さん

Q北條サンはどのような女性ですか?

この時代はほとんどの人がそうだったと思いますが、時代と自分が置かれた境遇を受け入れている大らかさをサンにも感じます。そのうえで、家族を慈しみながら毎日を生きている女性ですね。口には出さなくても、周りをよく見ていて、人の気持ちがわかるお母さんだなと思います。
それと、北條家は男性2人が無口なので、すずさんがお嫁に来てくれるまではすごく静かだったでしょうね。すずさんのおかげで女同士の気の置けない話もできるようになったし、北條家に新しい風が吹きました。

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Q夫の円太郎についてはいかがですか?

飄々としていて、おかしみとペーソスを感じます。口数が少なくて、はっきりした意思表示もないから、サンも普段は「しょうがないなぁ」とあきらめていて、もはや空気みたいな感じでしょうか。でも、そこは昔のお父さん。心の中では円太郎さんを大黒柱として頼りきって、信じきっていると思います。
演じている田口トモロヲさんご自身も静かな方ですが、時々お話しすると、何気ない雑談が妙に面白かったり(笑)。ちょっと円太郎さんに通じるところがあるかもしれません。私と同年代で、キャリアも重ねていらっしゃるのに、お芝居への取り組みがすごく真摯。そこが本当に素敵で、私も見習わなくてはと思っています。

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Q松本穂香さんと松坂桃李さんの印象は?

松本さんは柔軟なお芝居をされる方。とても自然体で、無理していない感じがすごくいいですね。それができるのは松本さんの大きさだと思います。役のすずと重なるホンワカした素顔を持ちつつ、しっかりとした女優さんです。
松坂さんとは食事の場面でご一緒するくらいで、普段のお話も、深いセリフのやりとりもまだそれほどありませんが、それがちょうどリアルな母と息子の距離感に近いという気がします。言葉をあまり交わさなくても、母は息子を見守っているし、向こうも大事に思ってくれている。そんな役柄と重なるいい距離感を感じています。

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Q撮影現場の様子について教えてください。

尾野真千子さんとの母娘のシーンが多いですが、すごく楽しいですよ。真千子さんは体ごとぶつかっていく潔いお芝居をされるので、女優さんとしてすごいと思いますし、人としてもとってもチャーミング。一緒にいると楽しくて、待ち時間には映画の話とかいろいろおしゃべりしています。
晴美役の稲垣来泉(くるみ)ちゃんのお芝居に対する姿勢にはビックリしました。まだ7歳なのに、言われたことだけでなく、常に自発的に考えて晴美を自然に演じようとしているんです。以前撮ったシーンとのつながりを考えたり、他の人のセリフも覚えていたり、人がセリフを言っているのを聞くお芝居にも感情がしっかり入っていて。大人なみです。だから、休憩中に皆さんに遊んでもらったり、無邪気に走り回ったりして子どもらしい姿を見るとホッとします(笑)。

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Qこの時代の生活を、どのように感じますか?

戦況がどんどん厳しくなって、物資や食糧不足で暮らしが不自由になっても、それを当たり前のように受け入れて、淡々と生活していますよね。そういう中で、逆に小さな楽しみを見つけていくのが女性たちなんだなって。食材や調理法を工夫したり、女同士で情報交換をしたり。この時代の日本女性を感じますし、きっと自分が家族を支え、家を守っているということを喜びに感じていたんでしょうね。
食事の場面では、小アジ1尾の半分がお皿にあったりすると、少ないおかずを分け合っている感じが「ああ、家族だなぁ」って、しみじみします。お料理の味も当時を再現してくださっているそうで、少し薄味ですが、身体にいいものをいただいているという感じがすごくします。タンポポのお浸しも、ほろ苦さがちょっと懐かしい感じでおいしかったです。

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Qこのドラマの魅力をどこに感じますか?

人がきちんと描かれているところですね。岡田惠和さんの脚本は、セリフの裏にある思いまで滲み出てくるように書いてくださってあるので、それを皆さんが楽しみながら演じるうちにドラマの世界が出来上がっていく、そんな無理のない運びを感じています。戦中の暮らしを知らない方は多いと思いますが、ぜひいろいろな世代の方に見ていただきたいです。

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Qご自身が日常で特に大切に思う時間は?

月並みですが、家族で食卓を囲む時間です。主人と娘と私それぞれが仕事を持っているので、3人揃うことがなかなかないんです。その分たまに揃うと、一気にいろいろなことをしゃべってますけれど(笑)。そんな、みんなで食卓を囲む時間は大切にしたいと思っています。

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