現場レポート

09  第1話、放送終了しました!! part6

【石丸Pのこだわりが光った、凛々しい「久坂玄瑞」】
林泰文ファンのみなさん、そして久坂玄瑞ファンのみなさん、長らくお待たせいたしました!
先日は、佐久間象山のエピソードをご紹介させていただきましたが、今回のレポートでは林泰文さん演じた久坂玄瑞にまつわるお話をたっぷりと綴っていきたいと思います。

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色男だった!? 久坂玄瑞

久坂玄瑞とは、長門国萩平安古(現・山口県萩市)に萩藩医の子として生まれ、知人の紹介で生涯の師となる吉田松陰と出会い、18歳のとき『松下村塾』へ入塾。松蔭に大変気に入られ、彼の妹と結婚したことでも知られる長州藩の武士です。久坂は非常にモテた人物だったそうで、あの桂小五郎、高杉晋作と並んで“祇園でモテた三大武士”として、いまも語り継がれているほどなのだとか(山田先生によると、久坂は「声がステキだった」らしい…)。

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長州軍が本営を構えた場所については、地図のコーナーを参照してみてくださいね

そんな久坂が自害して果てるまでのシーンは、2月7日(佐久間象山を熱演された市村正親さんがクランクアップを迎えられた日の翌日)の夜〜8日の朝にかけて撮影が行われていました。ちょうど現場入りをし、仕度を終えてリラックスした表情の林さんにお会いしたので「今日でクランクアップされてしまうんですよね?非常に残念です…」とお声をかけさせていただいたところ、「そうなんです。前作からチラッと出演させていただいているのですが、今夜クランクアップを迎えるということで、本当に感無量です。会ったことのない“実在の人物”を演じるということに、やはり緊張はありましたが、視聴者の方がお持ちのイメージを崩すことなく、違和感なく受け入れていただけるような久坂を演じきれたのなら、非常に嬉しく思います」と、人懐っこい表情を浮かべながら、気さくにお話してくださいました。
林さんは、これまでもさまざまな作品で幅広くご活躍してこられた俳優さんですが、個人的にはその素顔と近いような、非常におっとりとした役どころを演じていらっしゃる印象が強かったんです。ところが、今回の久坂という人物は、穏やかそうな見た目とは裏腹に、正義感が強く、凛とした佇まいやキリッとした目が特徴的でしたよね。

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目の奥に宿る”意思の強さ”が印象的だった、久坂役の林泰文さん

このキャスティングにこだわり、絶大なる自信を持っていたのが、石丸プロデューサーだったそうです。実は、“歴史オタク”でもある石丸Pが、幕末に活躍した英雄たちの中でも「特に好きな武士」のひとりこそが、この久坂玄瑞。石丸さんの確かな目は、林さんの優しげな表情の奥に見え隠れする“芯の強さ”や“情熱”を、しっかりと見抜いていたに違いありません。

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撮影の続くスタジオへ、一匹のネコがやってきて…!?

と、ここでひとつ、この日の撮影中の「ちょっと和むエピソード」をご紹介!
龍馬×久坂のシーンは、あるロケ先のスタジオを使って撮影が行われたのですが、この日の夜も氷点下の気温。外は、ストーブを何台もガンガン炊いても凍えそうなほど、本当に寒かったんです!)。とそこへ、このスタジオの付近に住みついている一匹のネコが、ストーブのぬくもりに惹かれ、とぼとぼとこちらへやってきたんです。そして、“勝手知ったる”という顔で、快適な温度に設定してあるスタジオの室内へ…。

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毛並みがよく、フワフワとした可愛いネコちゃん!

ところがこのネコちゃん、今から役者2人が全神経を集中させて“ここ一番”の芝居に臨むところだというのに、ちょうどその芝居が繰り広げられる真下あたりの床にもぐりこみ、「私をかまって〜!!」とばかりに「ニャー」「ニャ〜」泣くものだから、制作スタッフも少々困惑。本当に可愛くて人懐っこいネコだったので、どんより疲れ顔のスタッフたちも、その頭や身体を抱きしめて、思う存分ナデナデして癒されたい!というのが本心だったでしょうが、、、おびき出されたネコちゃんは、やむなくスタジオの外へと連れ出されました。その後も、スタジオのまわりでウロウロするミーちゃん…(勝手に名前をつけた)。ちょっとかわいそうだったけれど、しばらくすると諦めたように首をかしげ、とぼとぼと自分のお家へ帰っていきました。。。

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自刃を決めた久坂が、龍馬と揉み合うシーンの撮影現場は、すでにテスト中から熱気がムンムン。“汗なんてかかなそうなイメージ”の林さんでさえ、汗だくになってハァハァと荒い息をはいていらっしゃいました(笑)。久坂の真摯なメッセージを受け止める内野龍馬も、「ここはすごく重要なシーンだから」と、いつにもまして気合の入っている様子。監督の指示するまま妥協せず、“衣装が破けてしまうのでは”とスタッフが心配するくらい、何度も何度も熱のこもったテイクを重ねていました。
午前4時半ごろ、林さんがクランクアップを迎えた際に、彼のそばへ真っ先に駆け寄ってシェイクハンドを求めたのは、やはり内野龍馬。熱い演技合戦を繰り広げた相手がいなくなってしまうことに、寂しさも感じていたのでしょう、なんだか名残惜しそうな表情で言葉を交わしていた姿が印象的でした。

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「こんなに遅くまでお付き合い頂き、ありがとうございました。これでクランクアップを迎えますが、最後まで一視聴者として楽しみに拝見したいと思います」。
一礼して現場を去っていった林さん、その顔はすがすがしい表情で光り輝いていました。


(part7 へ続く)