現場レポート

07  第1話、放送終了しました!! part4

【迫力満点!『JIN』ならではの佐久間象山】
“2月6日の早朝にクランクインし、翌7日の朝4時にオールアップ”という非常にタイトなスケジュールで撮影に参加されていたのは、佐久間象山役の市村正親さん。「お江戸マメ知識」のコーナーも併せてぜひお読みいただきたいのですが、市村さん演じた佐久間象山とは幕末の思想家で、「100年先を見通すことができる」といわれた天才だったのだとか。あくまで架空の設定であり、そういった事実は一切ないそうなのですが、“象山が現代にタイムスリップしたことがある”というエピソードは、原作の中でも非常に面白いお話のひとつですよね。

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砲術家でもあった象山。よくみると、壁に貼ってあるのは「大砲」の図面など

そんな個性の強いキャラクターだったといわれる象山をキャスティングする際、石丸Pは「残されている肖像を見て、これは市村さんしかいない」と思い、オファーを出したのだとか。そこで、市村さんに出演依頼を受けた際の感想を伺ってみると…!?「前作をけっこう見ていて、“これは面白い作品だな”と思っていたんです。次の展開がどんどん知りたくなるようなドラマで、ハマってしまいましてね(笑)。だから、オファーをいただいたときは、すごく嬉しく思いました。佐久間象山の役だと聞いた後、台本を読んだのですが、とても風変わりな役だけれど設定が面白くて気に入りましたね。仁先生はタイムスリップして江戸時代へ来てしまった人だけれど、僕の演じる象山は現代へ行ってまた戻ってきた人間。タイムトリッパーとしては主人公の先輩ともいえる、ひとつ大きなキーワードとなる役どころだなと思いました」。また、象山役に選ばれた理由についても、「実際に彼の肖像を見てみると、かなり鬼気迫る形相・風貌の人物なんですよね。その部分でなにか通ずるものがあり、僕が選ばれたのかな(笑)」と語ってくださいました。

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この作品では、歴史上の人物を演じる出演者の『衣装合わせ』の際、偉人たちのプロフィールが机の上に用意されており、それを参考に衣装やメイクなどが決められていきます

ちなみに、お気づきの方もいらっしゃったかもしれませんが、佐久間象山の衣装は非常にシックでモダンな感じでしたよね。これは、史実として「モダンなファッションを象山が好んでいた」という記述が残っており、それに則ったからだそうで、「当時の人たちは“汚れやすい”という理由から、正装の時以外はなかなか白襟を好まなかったんだけれど、象山はつねに着物の下の襦袢の襟を白と決めていたらしい」とのこと。
幕末を生きた偉人の中でも、特に佐久間象山が好きだという方は、きっと隅々までご堪能していただけたのではないでしょうか?

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また、開国主義者の象山には、馬に乗る際もこだわりがあり、輸入品の『洋鞍(洋式の乗馬用の鞍(くら)。皮製で、現在では一般に使われているもの)』を愛用していたそうで、周りが「目立つからやめてくれ(※開国主義者だと悟られて、命を狙われる可能性が高まるから)」といっても聞く耳を持たず、「カッコイイから」といって譲らなかったというエピソードもあるのだとか。ちなみに、当時はスタンダードだった『和鞍』というのは木製で、乗り心地は皮製の柔らかい洋鞍と比べると劣っていたようです。

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市村さんが撮影に臨まれたこの日もまた、川にこんなぶ厚い氷が浮くほど寒い一日でした

そして、ここでひとつ龍馬のセリフの補足をさせていただきたいと思います。
船上で、龍馬が仁に対して佐久間象山について語るシーンの中で、「象山先生は100年先まで見通せるといわれる天才じゃ。けんど、それゆえに傲慢で敵も多い人じゃき。現に後ろ傷を負って死んだがは武士にあるまじき醜態じゃっちゅうて、佐久間家は屋敷を召し上げれられたぜよ」というくだりがありましたが、『後ろから襲われる=敵に背を向けた』ということは、当時の武士にとっては非常に屈辱的なこと(だからこそ敵は後ろから襲い掛かり、お家断絶を狙っていた可能性も…)。その結果、佐久間家はお家断絶となり、象山の息子は浪人となってしまったのだとか。ちなみに、象山の息子・格二郎は、のちに父の仇を討つため、新撰組に入隊したことでも有名ですよね。


(part5 へ続く)