インタビュー

綾瀬はるかさん[橘咲役]

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― 「続編の制作」を聞いたときの、率直なご感想をお聞かせ下さい。
私の中ではどこか、前作で“咲を演じきった”という気持ちもあったので、はじめに聞いたときは「え?もう一回やるんですか!?」って、すごくビックリしました。でも、よく考えてみたら、多くの謎を残したまま最終回が終わってしまっていたので、「ああ、なるほど…」と(笑)。
― 続編の撮影にクランクインされてみて、いかがですか?
頭で考えていたよりもずっと、すんなりと入っていけたかもしれないです。キャストのみなさんもそうですが、スタッフの方も前回とほとんど同じなので、「はじめまして」という緊張感もなかったですし…。時間をおいてもう一度クランクインしたというよりは、前回からずっと撮影が続いているような感覚に近いですね。ただ、やっぱり1年半の間に、お着物やかつらの感覚を忘れてしまっていたりもして、最初のうちは夜になるとグッタリしていました(笑)。
― 前作が大変好評を得ましたが、それに対する“プレッシャー”は感じていらっしゃいますか?
(写真)どうなんでしょう?でも、たくさんの方から「続編も楽しみにしているよ」と声をかけていただいて、私自身すごく嬉しかったですし、前作の咲ちゃんを越える…わけではないですけれど、続編でも咲ちゃんを頑張って演じようと気合が入りました。また撮影が始まってみると、やっぱり大変な部分もあるんですけれど、今は「もう一度この作品に関わることができて幸せだな」と感じています。
現場でも、1カット1カット…みんなの意気込みをすごく感じますね。これは、プロデューサーの石丸さんが『顔合わせ』や『クランクイン』のときにおっしゃっていた言葉なんですけれど、「地に足をつけて、初心を忘れず、浮足立たず」に取り組むことが大事なんじゃないかって思うんです。私もこの言葉を忘れずに、気負わず最後まで取り組みたいと思っています。
― 咲さんは、以前にも増してたくましく成長を遂げていますね。
そうなんです。今回はさらに、咲ちゃんがたくましいんです(笑)!もともと芯の強い女性ですし、「私よりも年下なのに、すごく大人だなぁ」と感じることが多かったんですけれど、続編での咲ちゃんは、ますます考え方が大人になっている気がします。いつも複雑な心境に置かれているのに、その中で必死に耐えて、仁先生の前では笑顔を絶やさずにいるところもすごいなと感じますし、自分のことを犠牲にしてまで「仁先生のために」と努力し続ける姿は、本当に健気だなというか…。今回は、演じている中でひしひしと、“仁先生を陰で支えている”という感じがします。
― 咲は、自分の持ち物を売ってまでも、『仁友堂』のために尽くしていますよね。
自分の着物や足袋を売って、そのお金で医療器具を購入したり、自ら台所に立って忙しい先生たちの食事を用意したり…。献身的に『仁友堂』を支える姿を見ていると、若いのになんだか“肝っ玉母ちゃん”みたいだなって感じます(笑)。
仁先生からみても、咲ちゃんはますます頼れる存在になっているのではないでしょうか。先々の台本を読んでいると、先生が迷っているときに「こうしたほうがいいです」とアドバイスをするようなシーンがあったり、ところどころで先生の背中を押すような場面もあったり…。咲自身の医術に対する知識も豊富になってきているので、“お医者さん同士”対等な立場で意見を交換しあっているような印象があります。
― 健気な咲の言動について、理解や共感はできますか?
同じ女性として、理解はできるのですが…もし自分があの立場に置かれたら、同じように振る舞えるかといわれると、なかなか難しいですよね(笑)。時代背景もあるのかもしれませんが、私は咲ちゃんのような強さは到底持てないだろうなって…。今回は、咲ちゃんがより大人に見えて、自分と遠いところにいる気がして、「待って―!置いていかないでー!」って(笑)。咲ちゃんの“意思の強さ”や“信念を貫き通す姿”には憧れますし、「カッコいいな」と思います。
― 今後、仁先生と咲には、どのようになってほしいと思いますか?
(写真)いつか咲ちゃんには、大好きな仁先生と心から幸せになってほしいなと思うんですけれど…仁先生は現代からやってきた人だから、いつか戻らないと家族も心配しているだろうし…どうしたら2人は幸せになれるんでしょうね!?咲が仁先生と一緒に現代へ行くことができたなら、それが一番いい解決法なのかもしれないですけれど…。でも、もしこの先、仁先生がひとりだけ現代に戻ってしまったらどうしよう…。咲ちゃん、すごく切ないですよね。
― 綾瀬さんご自身が、もし「過去」か「未来」に行けるとしたら、どちらへ行ってみたいですか!?
行ってみたいのは「過去」ですね。江戸時代や幕末には興味がありますし、男子禁制の大奥にも入ってみたい!未来は…宇宙人が歩いていたりして、なんだかついていけなそうなイメージです(笑)。
でも、どちらも行ったきり戻れなくなってしまった時のことを考えると、すごく怖いです。家族に会えなくなってしまったら…と想像するだけでも、本当に悲しくなってしまいます。
― この作品でも描かれている『幕末』の魅力は、どんなところだと思いますか?
(写真)『幕末』って、ちょうど時代が変わろうとしている時なので、日々予想のつかないようなことが起きて、常識や価値観が本当にめまぐるしく変動していた時期だと思うんです。そんな中で、どこか希望を感じながらみんな生活していたのかなと思うと、今とはまた違った面白みのある時代だったんじゃないかなぁって…。本物の龍馬さんにも会ってみたいし、現代に戻れる方法を知っていたのなら、絶対に行ってみたい時代のひとつです。
― では最後に、メッセージをお願いします。
『JIN -仁-』という作品は、見ているだけで心があったかくなる…そんなドラマだと思います。私自身、「武家の娘」という役どころをはじめて演じた思い入れの深い作品ですが、この時代ならではのエネルギーや、その時代を駆け抜けた人たちの持つ“強さ”みたいなものを、ご覧いただいた方にも感じていただけたら嬉しいですね。
命についても深く考えさせられる作品になっていると思いますので、最後まで見逃さずにご覧いただきたいです。

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