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過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 

藤井裕久氏「何か大きな力が」(2017年3月26日放送)

藤井:「私がびっくりするのはですね、役人というのは、前例踏襲・法規遵守の権化ですよ。それほど今、役人が堕落しているとはとても思えません。融通無碍っていうことはあり得ないと思いますから、(『8億円の値引き』などには)何か大きな力が働いてると思います。そして、籠池氏がですね、前はものすごくムードが良かったと、後から急に悪くなったと。なんでこんなに悪くなったのか、なんか別の力が働いてるんじゃないか、ということを言ってるんですね。両方とも何か大きな力がどこかにあるんだと思います」

続く共産党の宮本岳志議員は、「8億円の値引き」の根拠になったゴミの問題について執拗に質し始めた。「9.9メートルのところはドリルの先端にからみつくばかりのゴミが確認されたと。じゃあ、3.8メートルのところですね、その先は埋まっていないということは何か確かめましたかあ。どうですかっ」。これに、国土交通省の担当は「検証可能なデータの中で、検証可能なものを算定するという考え方で、3.8メートルにしたというこよでございます…」と、「役人答弁」を繰り返したため、共産党席からは「堀り直せっ」と罵声が響いたりした。 昭恵夫人を経由した安倍晋三総理からという100万円の寄付の有無、国有地払い下げの「8億円の値引き」をめぐる謎、その中での昭恵夫人付き秘書から籠池氏側への払い下げの陳情に対する返答FAXの発覚などなど。証人喚問が終わっても、予算審議が終わっても「区切り」を迎えていなかった。そして、2月17日の国会での、「(払い下げに)私や妻が関係したということになれば、首相も国会議員も辞める」との安倍総理の発言が野党を勢い付けていた。


玉木雄一郎氏「これさえなければ…」(2017年4月2日放送)

玉木:「私もちょっとびっくりしたんですが。多分すごく否定しようということでおっしゃったんですが。ただ、今からふり返るとですね、後に出てくる先ほどのFAXですね、ああいったものの存在を確認した上で発言されたのかどうか。ちょっと最近、総理と私、国会でもやり取りしますけども、ちょっと少し熱くなってですね、少し言い過ぎるようなところがあって。これさえなければですね、多分、今のような混乱はなかったのではないかと思われますね」

昼も近づき、窓からは春の日差しも燦々と降り注いでいた。しかし、続いて立った「維新のトランプ」とも呼ばれる、日本維新の会の足立康史議員の「普段は別の委員会で活動しておりますが、民進党さん共産党さんの質問を見ていてですね、もう見ていられずにやってまいりました」と冒頭から野党への「宣戦布告」で委員室はさらに混迷を深めた。

足立議員は、「学校ですからこれ。学校が開校するんだから、ある程度開校に向けてね、近畿財務局が努力した。これは一定のご理解が大臣にもおありなんじゃないかな。すなわち、行政サービスとして、法律の範囲内で頑張ったということは…」との「森友演説」に延々と声を張り上げた。

佐川理財局長に代わり、発言の機会が回ってきた麻生大臣は、国有地の「8億円の値引き」を「頑張った」と言われ困惑しながらも「とにかく小学校を作るというのは何十年ぶりですから、大阪府は許可すんのかと。というのを調べるのは当然でしょ。嘘かもしれないんだから。だから調べに行った。当たり前の話だ。ついてはその土地を、と言ったら土地の値段が決まった。そしたら工事が始まった、何か色々出てきたって話なんでしょ」と申請からの経緯を得意の「べらんめえ調」で紐解いて見せ、「早い話が、学校が出来るのは子どもも入学してくるから、出来なくなっちゃったらかわいそうじゃないのかというようなところを考えて、役人にしてはそういうところを配慮して、やった結果、今度の話になった。従来通りの規則通りにやっていたら別にこういった指名じゃなくて、一般競争入札になってたはずであれば、その問題だけは解決出来たはず」と分析してみせた。


石破茂氏「総理夫人の場を…」(2017年3月26日放送)

石破:「懲役10年にもなる偽証罪のリスクを冒して籠池さんは出てきてるわけですよね。他方、卑しくも総理夫人ですからね。それだけの方が?言うだろうかというと、それも違うんじゃないのかなと。何が真実なのかってことをきちんと解明をする。我々の総理総裁ですからね。その奥様が嘘言ってるなんていうのは、私はあり得ないことだと思っているのだけれど。じゃあどうやって総理夫人がきちんと真実を述べてるか、という場所っていうのか状況っていうのか、我々作っていかなきゃいかんでしょうね」

2日後「テロ等準備罪」新設法案の趣旨説明と質疑が行われるというので、今度は衆議院の本会議場に足を運んでみた。自民党議員の質問の答弁に立った安倍総理は「世界各地でテロが続発する中、3年後には東京オリンピック・パラリンピックを控え、テロ対策に万全を期すことは開催国の責務でありますっ」と声を張り上げた。自民党席からは「そうだー」との声があがる一方、野党席からはヤジが飛んだ。議場を囲むカメラは激しくフラッシュを焚き、冒頭から騒然とした雰囲気となった。

続いて質問に立った民進党議員は「私は今、激しい怒りの中にありますっ」と、いきなり興奮状態にあった。「総理は主体を組織的犯罪集団に絞ったと言い切っていますが、一方で目的が一変した場合、それが犯罪集団という説明も繰り返していますっ」と声を張り上げ、「捜査側が判断するには、一変する経過を常に調べていかなければできません」と「監視社会」に警鐘をならすと、「そうだー」との声と拍手が上がり、自民党席からは激しくヤジが飛んだ。「大変な与野党対決法案だな」と思った。

国会脇の記者会館の喫茶室で、古くからの知り合いの記者とコーヒーをのんでいると、彼は「昔からゴールデンウイークってよく政局の節目になっていたよねえ」などと話した。

「連休は取材も手薄だし、裏で政局の謀議をしやすいしね」と応じると、「なにやら森友問題はおどろおどろしいままだし、共謀罪も揉めるよなあ。小池新党もあるし」とつぶやいた。たばこのヤニで茶色くくすんだ壁の前に、さかんに立ち昇るスパゲッティを茹でる湯気を見ながら、私も「5月かあ」とつぶやいていた。


※本原稿は調査情報5〜6月号に掲載されています。

石塚 博久 (いしづか ひろひさ)
'62 東京都足立区生まれ。早稲田大学卒業後、'86日本経済新聞社に入社。大阪、名古屋、仙台支局(このとき、「みちのく温泉なんとか殺人事件」に出るような温泉はほとんど行った“温泉研究家”でもある)に。
東京本社政治部で政治取材の厳しい(「虎の穴」のような)指導を受け、新聞協会賞(「閣僚企画」共著)も。
'96TBS入社後は、報道局政治部記者、「NEWS23」のディレクターを経て、「時事放談」制作プロデューサー。

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