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2019年4月7日、4月14日「チリビケテ国立公園」

日本初撮影! 南米のロストワールド 前人未到の山々と古代の岩絵の謎に迫る!

謎が想像力を掻き立てる!岩絵に描かれた古代の動物!?

チリビケテ国立公園は、自然と文化両方の登録基準を満たした複合遺産です。自然の絶景だけが見どころではありません。絶壁に残された岩絵とそれを描いた古代の人々に思いを馳せてみましょう。

──世にも奇妙な山と川などの自然だけでも、相当ユニークな世界遺産の「チリビケテ国立公園」ですが、文化遺産としてはどのようなものがあるのか、教えてください。

田口:注目なのは、何と言ってもテプイの絶壁に描かれた岩絵です。アクセスが難しい場所なので、ヘリコプターでギリギリまで接近して撮影してきました。チリビケテ国立公園内にはこうした岩絵が7万5000個以上あり、アメリカ大陸に人類が到達した約1万2000年前から描かれていたと考えられています。

テプイの絶壁の途中に残る岩絵をヘリから撮影。古代の人々が、どのようにしてこんな場所に絵を描いたのかも、いまだ謎です。

──近くに寄って見ることは難しいのですね。

田口:実際に登るのが困難というだけでなく、立ち入る許可を得るのが難しいという事情もあります。ただ、チリビケテ国立公園の緩衝地域に指定されているリンドサという場所にも岩絵があり、番組ではその岩絵もしっかりお見せします。

チリビケテ国立公園の緩衝地域であるリンドサにある岩絵。さまざまな動物や文様が描かれているのをご覧いただけます。

──それらの岩絵には一体何が描かれているのでしょうか?

田口:狩猟や戦い、踊り、儀式の様子など、信仰と結びついたシンボルや文様が描かれているようです。しかし、謎の部分が多いのです。さまざまな動物らしき姿が描かれていて、ジャガー信仰を表しているという説もあります。猿や鳥、家畜のようにも見えます。1万年以上前の絵の可能性があるので、ひょっとしたら現在は絶滅した動物が描かれているのかもしれません。

取材の無事を祈る儀式を行う先住民の長老。テプイにまつわる創世の神話を教えてくれました。

──現代人が見たことのない動物かもしれないというのは、想像力を掻き立てられますね。

田口:テプイに同行してくれた先住民の長老は「世界の始まりの時代、チリビケテに向かって生き物たちが移動を始め、そこに定着した」という言い伝えを教えてくれました。ただ、こうした言い伝えも、いくつかいるこのエリアの先住民ごとに異なっていたりするそうです。まだ詳しい調査が進んでいないため、未知の領域が残る世界遺産なのです。

2週連続放送の特別番組では、秘境を分け入って撮影してきた膨大な映像から、選りすぐったシーンの数々をお届けしますのでご期待ください。

──現代に残された謎の秘境を堪能できそうな今回の放送が本当に楽しみです。最後に、視聴者の皆さんへひと言どうぞ。

田口:ゲリラ対策の厳重な警備を通り抜け、ジャングルを流れる川をボートで何日も遡り、テプイや川、岩絵に加えて珍しい動物や植物など、さまざまな貴重な映像を収めてきました。ヘリコプターからの撮影素材は、合計1140分にも及びます。その中から選りすぐったシーンを2週連続でたっぷりお届けしますので、ぜひお楽しみください!