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2015年4月19日放送 「潜入! ガウディの3つの傑作」 アントニ・ガウディの作品群

スペインを代表する建築家で、バルセロナを中心に独創的な建築物を多数残しました。中でも、まだ未完成のサグラダファミリアは、世界中から観光客が集まるバルセロナの象徴となっています。このファサードを含む、7つの作品が「アントニ・ガウディの作品群」として世界遺産に登録されています。

スペイン・バルセロナ市の象徴的な建築物で、巨大な教会。アントニ・ガウディの代表作とされていますが、未完成の作品です。ガウディが健在だったときに建設された地下聖堂と生誕のファサードが、世界遺産に登録されています。建築費は主に寄付と入場料で賄われており、一時は資金不足とスペインの内戦の影響で停滞していました。しかし近年は、観光人気の高まりに合わせて資金が集まり、最新技術の投入によって建設速度が上がってきています。2013年には、完成が2026年になると発表されました。

サグラダファミリアの完成を
150年早めたヒミツ

─今回は、「ガウディの作品群」の中から3つの傑作を紹介するわけですが、最初に紹介するのは、有名なサグラダファミリアですね。

小澤ディレクター(以下、小澤):はい。今回の番組では、観光ではなかなか目にすることのできない「ガウディの作品群の今」をお伝えします。いまだに完成していないサグラダファミリアですが、その最前線がどうなっているのかを見てきました。

スペインを代表する建築物であり、観光地であるサグラダファミリア。このガウディの代表作はいまだ建築中です。

─サグラダファミリアの最前線というと、やはり現在も進んでいる建築現場ということになりますね。

小澤:そうです。実は最近になって、着工から300年と予想されていた建築期間が150年ほど縮まり、2026年の完成と完成予想CGが発表されました。

─ずいぶんと短くなりましたが、なぜ工期がこんなにも短縮されたのでしょうか?

小澤:目覚ましい技術の進歩が大きな理由です。例えば、今注目されている3Dプリンターなども活用されています。これは番組の中で詳しく紹介します。まさにそこには、「サグラダファミリアの今」がありました。

工期の短縮にひと役買ったのが最新のIT技術。3Dプリンターが出力したものは、果たして……?

─あまり知られていない、サグラダファミリアの現在が見えてきますね。工事は順調に進んでいるのですか?

小澤:最近になって、観光地としての人気が高まったことで観光収入が相当上がりました。基本的に寄付と入場料で建設資金を賄っているので、これも工期を短縮できた大きな理由です。数多くの人がサグラダファミリアの建設に携わっており、それだけ工事は順調に進んでいます。

サグラダファミリアの魅力は外観だけではありません。内部の荘厳さと美しさもたっぷりお届けします。

──これほど人気が出るということが、計算に入っていなかったのですね。他にも最新の情報はありますか?

小澤:実はサグラダファミリアの建築では、日本人が活躍しています。彫刻家の外尾悦郎さんです。外尾さんは、スペイン内戦で破壊された「生誕のファサード」の彫刻を制作した方です。さらに、ガウディの設計にはなかった鉄の扉も新たにデザインしました。

──スペインの最も有名な建築物の重要な役目を、日本人が担っているのは驚きです。その扉はどのようなデザインなのですか?

小澤:ガウディはサグラダファミリアのあちこちに、トカゲやカエルなどの生き物をあしらいました。外尾さんは自然を愛したガウディに想いを馳せて、扉に葉っぱの上で遊ぶ虫たちをデザインしたのです。

外尾さんは、扉を覆った葉のあちこちに虫たちをあしらいました。

「生誕のファサード」などの彫刻を製作した彫刻家の外尾悦郎さんは、ガウディの設計にはなかった扉のデザインを任されました。