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アラスカ・カナダの氷河地帯I・II

氷河が生み出す豊かな自然THE世界遺産ディレクター取材記

―今回取材されたのは「アラスカ・カナダの氷河地帯」ということですが、氷河の世界遺産といえばスイスの「ユングフラウ-アレッチュ-ビーチホルン」や、アルゼンチンの「ロス・グラシアス」などがあります。ほかの世界遺産の氷河と比べて、ここにはどんな特徴があるのでしょうか?

江夏ディレクター(以下:江夏):アラスカとカナダの国境地帯にまたがる4つの国立公園が、ひとつの世界遺産として登録されています。総面積は約10万平方キロメ−トル近くもあります。

―10万平方キロメートルですか……。広大すぎて想像ができません。どんな光景ですか?

氷河が生み出す豊かな自然THE世界遺産ディレクター取材記

江夏:氷河をはじめ、森や海をふくむ豊かな自然が広がっていました。氷原は世界最大級と言われています。雪と氷の世界ですね。氷原のなかにはいくつもの山々が連なっています。氷原の厚さが1000mくらいあるので、ちょこっと突き出ているように見える山が、実は標高5000m級の山だったという不思議な場所です。その山岳地帯で降った雪が溶けずに固まって氷となり、斜面に沿って流れ出したものが氷河です。上空から見ると、大きな一筋の線になっているのが分かります。

―スケールが大きい氷河ですが、現地で見るとどんな様子なのでしょうか?

江夏:氷河の大きさを一番感じたのは、海からそそり立つ氷の壁を見たときです。海面からの高さは60〜90mもあります。船で100mの距離まで近づいて撮影したのですが、大きな塊がドカーンと落ちる場合と、広範囲に渡って雪崩のように落ちる2つのパターンがあって、どちらも迫力のある光景です。氷が落ちたときの高波で、船が結構揺れました。