特集
運河キングダム・イギリス 産業革命を支えた世界遺産「ポントカサステ水路橋と運河」
―幅2mというと、とても狭そうですが、船内はどんな様子なのですか?

愛場:船上生活用の船には、キッチンやベッド、シャーワー、トイレなどの設備と、電気、ガス、水道が完備されています。定年退職した夫婦が、ナローボートで旅をするのがイギリスでは流行っているそうです。ナローボートは運転免許がいりません。また、都会の一部を除いて停泊料は無料です。番組では、船上で暮らす夫婦を取材していますが、自然のなかで自由気ままに第二の人生を送っているようでした。
―優雅ですね。免許がいらないということは、私たちが旅行で行って、運転することもできるのでしょうか?
愛場:例えばロンドンのテムズ川から、ウェールズ地方の北東部にある「ポントカサステ水路橋と運河」まで自分で運転して行くこともできます。運河は繋がっているので、どこへでも行けるそうです。運河は浅く、ボートはゆっくりと進むので、安全に楽しめます。
―ロンドンから行けるというのはすごいですね。船上で生活する人がいるほど、ナローボートの旅が人気の理由は何でしょうか?
愛場:イギリス人は伝統を重んじる気質を持っていると言われますが、取材をして実際にそうだと感じました。彼らは産業革命でイギリスが発展したことを誇りに思っており、運河やナローボートはその象徴なのです。18世紀には、船は馬で牽引されていたのですが、今でもその様子を見られる場所があります。まるで200年前にタイムスリップしたような気分になりました。船に乗っているだけで、イギリスの歴史を知ることが出来る旅ですね。この映像は番組でご覧いただけます。
―最後に視聴者の方へメッセージをお願いします。

愛場:ぜひ「ポントカサステ水路橋と運河」を見に行ってほしいです。イギリスの運河でしか味わえない旅があります。ユニークな旅をしてみたい人や、特に50代、60代の方にオススメです。船上生活を楽しんでいる同世代のイギリス人たちと同じように、気ままで優雅な生活を体験できると思います。番組では、そんなちょっと変わったイギリスの旅を疑似体験していただける映像が盛りだくさんなので、お楽しみください。
世界遺産の歩き方
今回紹介した「ナローボート」には、カラフルなペイントを施されたものがある。伝統的な「カナル・アート」だ。プロの職人もおり、水に強い専用のペンキを使って、船の側面や、バケツやヤカンなどの生活用品を、色鮮やかな絵で飾る。バラと城郭の絵が定番だ。船が集まるフェスティバルなどでカナル・アートのグッズを購入することが可能で、人気を集めている。