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Q:世界遺産のカメラマンとして大切なこととは?
A:世界遺産は、視覚的に見てすぐに「これは素晴らしい!」と分かる物だけではありません。中には「何でこれが世界遺産なの?」と思ってしまうバックグラウンドで世界遺産になった、いわば脳で理解する世界遺産も数多くあります。後者のようなサイトに対して、僕たちは常にそれらを「ありがたいもの」にするというのが命題です。すると、まず大切になってくるのは、僕自身がいかにその場所をリスペクトできるかということ。興味を持ってリスペクトすれば、その周りの話には出てくるけど遺産には直接関係のないような町、建物でも心から必要だと思って撮る事ができます。僕自身が心の底から「貴重だな」「守りたい」など思いながらそのサイトの輝きを引き出し、その輝きを感じ取ってくれた皆さんの足がそのサイトに向いてしまうくらい興味を持てる作品が出来たなら…。 それこそカメラマン冥利に尽きるのではないでしょうか?
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Q:石原さんから見た世界遺産という番組とは?
A:この番組は本当に異色です。普通は次々とリズムを変えて、映像でも何でも掴みを大切にしないと、見ている人はすぐに離れてしまう。番組をいかに飽きさせないか? を考えるのが一般的に要求される部分だと思うのです。でも、この番組の場合は空撮だけで1本撮ってみたり、いいと思ったカットは15秒1カットなんて話もざらにあります。僕も最初は「それってどうなの? 」と思いました。今となってはそのこだわりあってこその「世界遺産」だと思えますが、映像に関しては本当にある意味マニアックな世界ですね。 |
それと、番組自体はクオリティ高く品のある感じですが、影ではものすごく苦労しているんですよ。クレーン撮影にしても、みなさん結構使っていると思われているかもしれませんが、そこまで頻繁に使っているわけではありません。実際は、単なる2本の棒をカメラの三脚に付けて撮影する「簡易レール」が大活躍している事の方が多いんです。日本から行くスタッフだって毎回4~5人ですから、1人何役もこなさないと全く仕事になりません。僕もカメラマン兼照明をやりますし、巨匠と言われるディレクターだって機材を運んだり、その他力仕事もこなします。世界遺産という番組はこんなこだわりと努力で形作られているのではないでしょうか?
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石原定務カメラマン今後の放送予定 |
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9月24日 |
アルケスナンの王立製塩所 (フランス) |
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12月10日 |
ローマの水道橋 ポン・デュ・ガール(フランス) |
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