
1608年、フランスの探検家シャンプランは、大西洋を越えセントローレンス川を遡る。そして、先住民によって、ケベック「川の狭まる地」と呼ばれた岬に、砦を築いた。そこは、アメリカ大陸で最古のフランス人の町になった。やがてフランスは、五大湖を経てメキシコ湾までつながる、広大な植民地を北米に築いたのだ。 |
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その目的は、ビーバーでした。当時、ヨーロッパの上流階級では、ビーバーの毛皮を使った山高帽が大流行。欧州のビーバーは、絶滅寸前になっていた。フランスとイギリスは、毛皮の利益の独占を目論んで、対立した。ビーバーの帽子が、北米の歴史を変えたのだ。 |
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ケベックは、カトリック宣教の中心地になる。イギリスのプロテスタントに対して、フランス・カトリックの牙城だった。修道女は、パリで盛んだった刺繍を、異国の地に伝えた。それは、布をキャンバスに、針を筆にして描いた糸の絵画だ。 |
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イギリスの征服後、フランス人を祖先に持つケベコワは、頑なに故郷の文化にこだわる。総督邸の跡地には、古城と見まがうホテルが建設された。「私は忘れない」それは、ケベコワの合言葉だ。カナダの大地に刻まれたフランスの記憶。ケベックには、もう一つのアメリカが存在している。 |
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