高知東生さんインタビュー

Q台本を読んだ感想は?

登場人物の人間像がそれぞれうまく描かれていて、読んでいて家族への愛情、やるせない思い、切なさ感じました。

Q今回演じられる小倉孝信という男性はどんな人物でしょうか?

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余命幾ばくもない奥さんを看病しながら、運送会社で働いているという大変ではあるけれど、人としてはごく普通の男だと思います。
人生をともに歩んできた妻が、ある日突然、いなくなってしまうという恐怖や虚無感に苛まれながら、少しでも長く生き続けて欲しいという思いの中、奥さんの前では気丈に振舞って看病し続けている男だと思います。
ただ普通と違うのは、8年前にあることがきっかけで過ちを犯してしまい、それが今回の物語のポイントになっているのですが、この小倉という男について、ドラマをご覧いただいている方にも、ある意味共感できる部分が描かれているのではないでしょか。
ドラマを見ている人にも自分自身と照らし合わせてなにか感じていただけると思います。僕自身も、善人とは何だろう? 悪人とは何だろう…と、その境界線をあらためて考えさせられたという感じです。

Qそんな小倉を演じる上で気をつけていたポイントというと?

まず、気をつけるというより、もし自分が小倉と同じような境遇に置かれたらどうなるか? ということを想像してしまいました。
死に向かっている自分の奥さんを看病しながら日々生活をしている、その気持ちはどんな気持ちなんだろうか…? という部分を常に考えながら、ワンシーンワンシーン、小倉の気持ちを想像しながら演じていました。
自分自身愛する奥さんを喪うということはまだ自分に経験がないことなので、自分自身をその気持ちに置き換え想像することで、変な話ですが素直に演じることができたような気がします。小倉が奥さんを看病しているシーンを撮影しているときは本気で不安になり、なんだか怖くなってしまいました。

Q撮影中の現場の印象やエピソードなどはありますか?

蔵之介さんとは初めてお仕事をさせてもらったのですが、うちのかみさんが「くらちゃんがね…云々」と蔵之介さんの話をよくしてくれるので、なんだか初めて会った気がしなくて、思わず「くらちゃん」って声をかけてしまいました(笑)。
現場の雰囲気ということでは、蔵之介さんが周りに気を配って、座長として調和を取ってくれていたという印象です。それに、大先輩の橋爪さんのほか、みなさんがそれぞれに素晴らしい味のあるお芝居をされるので、僕はものすごく役に入りやすく演じることができました。「ハンチョウ」という大人のドラマに参加できて、すごく嬉しかったですね。

Q第3話の見どころというと?

ハンチョウを今まで見させてもらっていて、作品全体を通して感じることは“大人のドラマ”だということ。ストーリーがしっかりしているのはもちろん、刑事という職業を通して“人と人が生きる”ということをよく描いているドラマだと思います。
そしてこの第3話では、ある夫婦の相手思う姿が描かれているのですが、奥さんという人生の宝物について、あらためて考えさせられるストーリーだと思います。“夫婦”とか“思い遣る心”というものを見つめ直すいい機会になってくれると思うのではないでしょか。ぜひご夫婦はもちろんのこと、家族でご覧いただけると嬉しいですね。