2017年12月2日 夜9時〜
そしてポーランドのワルシャワ動物園には、人の命を繋いだ歴史秘話がありました。この動物園の園長も務めていたヤン・ジャビンスキさんが奥様とともに動物園の中で第二次世界大戦中に多くのユダヤ人の方たちを救ったのです。ナチスドイツが侵攻しているなか何年にも及び行ったその救出は、まさに命がけだったと思います。動物でも人間でも分け隔てなく命を尊んだジャビンスキさん。ただ匿うだけでなくユダヤ人の人たちが前向きに生きられるよう配慮した奥様。ご夫妻の勇気ある行動はもちろん、戦時の混乱の中でも、ご自身の信念を見失うことがなかったことにも感銘を受けました。
現在も動物園内に保存されている
ジャビンスキ夫妻が暮らしていた家には
ユダヤ人を守るため活躍した夫人のピアノが
ユダヤ人が強制的に住まわせられた居住区
ゲットーを囲んでいた壁
第二次世界大戦中のことを取材するのは、胸が苦しくなることもありました。実際に体験をした方からお話を伺ったり、収容所などの建物に入ってみると、書物や映像で知るのとは違う重みも感じました。その一方で、過酷な状況の中でも屈することなく、希望のある未来のために行動できる人の強さも感じました。
世界遺産にも登録されている旧ワルシャワ市街の建物は
戦後新たに建設され、ほとんど戦前の景観を保っている
ワルシャワの街の復興のリーダー的存在だった建築家ヤン・ザフファトビッチさんの娘、クリスティーナさんのある言葉がとても印象的でした。街は壊滅、焼け野原になった状況を見て「父は、絶対に元通りにしてみせると言いました」と。その時にザフファトビッチさんの心に渦巻いていたのは、怒りや憎しみあるいは復讐心に近いものだったのかもしれません。なのにネガティブな行動に陥ることはなかった、そこが素晴らしいと思います。
いろいろなことを学んだ取材でしたが、動物も人も、そして街も、命やその存在を繋げていくことの大切さを教えて頂いたと思います。