2016年5月14日 夜9時〜
副島淳さんが挑戦したのは、88ヶ所の札所を一度にすべて巡礼する「通し打ち」。高知、香川、愛媛、徳島の4県にまたがる巡礼の旅ではどんな出会いと発見があったのでしょうか。
僕はすべての札所を一度でお参りする「通し打ち」を目指しました。移動では車も使い18日で満願成就することができました。車を使ったとはいえかなりハードでタイトな日程で、お昼を食べる間も惜しんで歩くこともしばしばで、せっかく香川へ行ったのに讃岐うどんを食べることもできませんでした(笑)。お寺は17時には閉まってしまうので、走って駆け込んだこともありましたね。ですから最初の頃はまだ80ヶ所も残ってる…、あと70ヶ所もと成就できるか不安でしたし1日が長く感じました。でも30ヶ所以上回った頃でしょうか、身体が歩き続ける毎日に慣れてきて、日々の出会いから頂く優しさや楽しさをその都度自分の喜びにできる気持ちの余裕ができたときから最後まではアッという間に感じました。
親子で巡礼をする親子遍路ウォーキングのみなさん
「ある程度の体力と脚力は必要ですが
巡礼にはいろいろな選択肢があるので
誰でもお遍路ができると思います」(副島さん)
四国の名産ブンタンを頂く
「今回のお遍路では頂くばかりでしたので
今後はさまざまな形で僕がお返しをする番ですね」(副島さん)
お遍路の装束を着て歩いていると、地元の方は子どもからお年寄りまで必ずと言っていいほど声をかけてくださるんです。お茶やお菓子、果物を下さる方も少なくありません。始めの頃はそれがありがたい半面、恐縮もしてしまっていて。何かお返ししなくちゃいけない、どうお返しすればいいのだろうと感じていました。そんなとき、これはお遍路さんと一緒に歩いている弘法大師へのお供物でもあり、巡礼できない自分たちの代わりに歩いてくれるお礼でもあると聞き、ずいぶん気持ちがラクになりました。またお返しなんて考えなくていい、こうした思いやりや助け合いの連鎖が回り回ってまた自分に返ってくるのだからと教えて頂いたことも印象的でした。
あるお寺では滝行も体験!
「ただひたすら冷たくて痛かっただけで何の境地にも至りませんでした(笑)
でもみなさん僕の写真を撮ってましたから少しは喜んで頂けたのでしょうか(笑)」
18日間の通し打ちで、お作法通りのお参りはどんなに時間がなくても実行しました。お作法では、本堂と大師堂の2ヶ所で読経し、お経を奉納することになっています。それだけ毎日何回も読経していると上達するものですね。さらに僕のルックスがいかにも巡礼初心者に見えるのか、いろいろなご住職や先達の方たちからお経の読み方のアドバイスを頂き、巡礼の後半に訪れたお寺のご住職から「君すごく上手いね。お坊さんの学校に行っていた?」と言って頂けるまでになりました(笑)。そんな風に言って頂くと益々お遍路への愛が深まってしまって、後半は終わりたくないという気持ちでいっぱいでした。そして最後の読経をしたときには込み上げるものがありました。達成感の喜びよりも、お遍路が終わってしまう寂さ、名残り惜しさの方が圧倒的に大きかったです。実際にお会いした方で、お遍路を100回以上達成した方がいます。何度も繰り返したくなる気持ち、今ならよくわかります。僕もまた挑戦したいと思ってます。
「88ヶ所のお寺すべてにそれぞれの見所や魅力がありました」(副島さん)